振ったくせに【◇】

寒くて暑い ページ18

「はははっ、すごい量。」


御幸くんの目線の先は私が持っているカゴの中。
その中には甘いもの辛いものとバランスよく入っている私のお菓子たち。


きっと御幸くんは甘いものとか苦手そうだな、と思っていると


そんな当の本人は私のカゴの中を見て笑っている。
……あいかわらずのイケメンフェイスだ。


「なんか悪いですか？」

「いーえっ、何もー。」


そう言いつつも悪い顔をしている御幸くん。
きっとまた一段と私が太るとか思ってんのかな。


それ以前に、もう太ってるとか思われてるのかな……。



そう思って目線を下に向ける。
……あっ、まだ大丈夫。体型カバーしてくれる服きてた。


そう思って胸をなで下ろすと


「わかりやすすぎ。」


と大爆笑の御幸くん。


「Aさんは少ししか太ってないから大丈夫。」

「いや、少し太ってるんかい。」

「ははっ冗談、冗談。」



そう返されたのでツッコミを入れてる私。
どうしよう反射的につっこんでたとショックを受けつつも



お会計済ましてくるね、と御幸くんに言うと
外で待ってるわと答える彼。


最近は少し肌寒くなってきたから、あんまり待たせないようにしなきゃと思って素早くレジに並ぶ。



ポケットに手を入れて、私を待っていてくれている御幸くんは寒そうだけど

なんか嬉しいなぁとか感じてしまう。





…………というか





「……久しぶりに男子に名前で呼ばれた。」




肌寒い気候とは、対照的にほんのり紅く染まる私の頬を手でパタパタとあおいだ。

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