4.運動音痴発覚。 ページ6
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｢走り終わった奴から水分補給すること！
具合が悪くなったら近くの生徒に話しかける！
以上のことを守って、頑張って走ってこい！｣
熱血体育教師がそう言うと、
突如校庭に響き渡った笛の音。
鼓膜が破れそうなくらいの音で思わず耳を塞ぐと、
思いっきりスタートダッシュの時点で遅れた。
皆より一歩遅くスタートすると、
開始10秒だがもう既に気が重くなり疲れてきた。
耳元辺りで縛っているツインテールが顔面に当たっていて凄く鬱陶しい。走りづら過ぎる。
そして何より一番驚いているのが、意外とビリじゃなくて3人ほど追い抜いていることだった。
こんなに体育から逃げてきた女でも、やってみれば案外人を越せるものなんだな、と少し自画自賛してみた。
……ところが、
｢本当さぁ、3kmとか超だるいんだけど。｣
｢誰かぶっ倒れて中止になってくんないかなぁ？｣
その後ろの3人は手を抜いているだけで、
実際に喋る余裕がめちゃくちゃあった。
いや、走れ。本当に走れ。
私は全力を出してこれなんだよ、走れ。
｢あ、黒咲さんも手ぇ抜いてるー？｣
｢黒咲さん運動できそうだもんね〜｣
『はぁ、はぁ……んな、ことないｯよ、！』
｢……なんか、ごめんね。
うちらもスピード上げよっか。｣
寒いからか段々とお腹が痛くなってきてしまった。
いや、でもここで終わらせたらなんとも言えない敗北感がある。そしてやり遂げなきゃいけない感。
後ろの3人はスピードを上げると、呆気なく私を追い抜いて行った。
走るのってこんなに辛いんだな。
もう一生走るなんてことしたくない。
朝礼台に置いてある電子時計を見ると、もう12分という文字。
私はまだ1.5km程しか走っていない。
あと半分もあるというのだ。
｢黒川っ、12分42秒！｣
そして外周をしている途中に聞こえる教師の声。
思わず私は耳を疑ってしまった。
あんな華奢で可愛い女の子が12分？プロよりかは多少遅いとかもしれないが、それでも私はくろちゃんの体力を疑った。
3kmをあの小さなくろちゃんが12分で終わらせるだなんて、思考がついてこない。
頭の中がくろちゃんでいっぱいになっている中、
どんどんと体育教師は名前とタイムを読み上げていく。
気が付けばもう20分は経っていて、
私はやっと外周から校庭に戻って来れたのだ。
残っているのはどうやら私だけらしい。
｢黒咲っ、22分42秒！｣
体育教師が私の名前とタイムを言うと、
ぱちぱちと拍手が校庭に響き渡った。
続く (更新停止中)
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作者名：ふー | 作成日時：2019年1月4日 9時
