限度と印 ページ10
2人はその後もテレビを見ながら飲む。
Aはぼーっと画面を見つめていた。
「A。」
ゆまは心配になり話しかけた。
Aはゆっくりゆまの方を見る。
「なにぃ。」
Aの顔は真っ赤になっている。
完全に酔っ払っていた。
ゆまははあ、とため息を着く。
「やっぱり飲ませといてよかった。A、聞いてね。いや、また明日酔いが覚めたら言うけど。Aはほろよい1缶でベロベロになるの。これから出かける時はお酒を飲まないこと。危ないから。」
べしっと指を指す。
「んー、わかったぁ。」
へらっと笑いながら敬礼する。
Aの完全オフモードにたじろぐゆま。
「……別にいつも敬語じゃなくていいのに。」
まあたまに出るタメ口ってのもいいか、と独り言を呟く。
ゆまははっとしてAを見た。
今ならいつもは叶えられないことが出来るのではないかと。
「なあ、A。」
「んー、」
「ゆうまって呼んで。」
Aはニコニコしながら頷いた。
ゆまは心の中でガッツポーズをする。
「ゆうま、好き。」
「え」
予想外。
その言葉が後についてくるなんて思ってもいなかった。
ただゆまは、Aの背景が天井であることに気がつく。
「ちょ、A」
「好き……」
近づいていくAの唇。
初めてゆまを翻弄しているA。
潤んだ色っぽい瞳にゆまは目を奪われていた。
目を瞑るゆま。
Aの吐息がかかる。
温かくてほんのり香る酒の匂い。
「……。」
なかなか唇が触れない。
ゆまはうっすらと目を開けた。
「……生殺しだ。」
Aはゆまの胸の上で寝息を立てていた。
Aを飲ませると悪魔になる。
ゆまは確信してAをベッドに運ぶ。
「こんなの外連れて行けないな。」
例え気の知れたSLHのメンバーだろうと、ATYの姉妹だろうと。
不安になる。
ゆまはもう一度Aの顔を見た。
幸せそうに眠るその頬にキスをする。
それだけじゃ足りない、と首に噛み付いた。
「やば。」
濃く残った印は鎖骨の少し上に紅く灯っている。
ゆまは指でなぞった。
「……。」
これ以上は止められなくなると察したゆまは寝室をあとにする。
部屋の電気を消して、ゆまはリビングのソファで眠りについた。
109人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuki(プロフ) - もう更新しないのでしょうか…続きが気になります…!! (2020年6月2日 21時) (レス) id: 4193d3e44a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:糯 | 作成日時:2020年4月10日 5時