復帰企画 1 ページ3
Aはスタジオに来ていた。
大学の授業が午前に終わったからである。
今回はダンスの動画ではなく復帰後初のYouTube動画の撮影をしに来たのだ。
これまで自宅で撮っていたが今はゆまとの共同生活。
自宅で撮るのは気が引けたAはスタジオを借りて撮影をするのだ。
撮影者と天の声担当のジョニーがカメラの後ろに座っている。
深呼吸をして、始める。
「どうも、Aです。えっと……復帰しました。」
「テンション上げてよ。YouTuberでしょ。」
いつもローテンションのA。
それに突っ込むジョニー。
これがいつもの動画である。
「休止した時はね、高校生だったんですが無事に東京藝大に受かり、去年から大学生やらせてもらってます。」
「東京藝大凄いね、ほんと。よく受かったよ頭おかしいと思う。」
「それは藝大生に失礼。」
「はい、すみませんでした!」
ジョニーがカメラの向こうで頭を下げて謝っている。
「今回はですね休止中のエピソードとか踏まえて色々雑談していく動画にしたいと思います。」
「いぇーい。」
「ジョニーはね、従兄弟でもありますからなにかと一緒にいましたんで語ってくれたら。」
「はーい。」
適当に返事するジョニー。
Aはメモ用紙を机に置いて椅子に座って話し始めた。
「まずいきなりなんですけど休止してから3日後ですね、事件が起きます。」
「早すぎ。」
「パオパオチャンネルさんの第2弾テーマソング考えて作詞したはいいものの、作曲していなかったと。」
「最低。」
「ほんとに最低です。すぐにこしらえました。納期とやらにはちゃんと間に合ったのですがね。ジョニーにも手伝ってもらった。」
「僕は僕で色々作業あったのに邪魔されました。」
「その節はどうもすみませんでした。」
深々と頭を下げるA。
これは当時何回もしたやり取りだ。
「そしてその活動から開放されたあと、私は猛勉強しました。」
「息抜きが勉強っていう特殊な子なので割と問題なかったよね。」
「うーん、でもやっぱり難しかったな。特に映像の方が。」
「そこはね、僕もサポートしましたよ。」
うんうん、と頷くA。
「なんだろう、みんなが想像するYouTuberさんの映像制作とは少し違った知識面での受験だからね、苦労しました。」
「訳わかんない単語出たよね。」
「うん。」
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yuki(プロフ) - もう更新しないのでしょうか…続きが気になります…!! (2020年6月2日 21時) (レス) id: 4193d3e44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:糯 | 作成日時:2020年4月10日 5時