記憶 ページ11
｢……。｣
目が覚める。
キッチンから水が流れる音と何かを刻む音でが聞こえてきた。
｢おはようございます。｣
ゆまが起き上がるとキッチンの方向から挨拶が飛んできた。
Aはにこやかに朝食を作っていた。
｢今日はパン、ちょっと焦がしますね。｣
少し嬉しそうな声。
ゆまは微笑みながら頷いた。
ゆまはリビングで着替えながらAを見つめる。
今日のAの服装は丸襟Tシャツで昨晩のキスの痕は見えなかった。
｢私ってお酒弱いんですね。外で飲まなくて良かったです。記憶無くなってますからね。｣
テーブルの上に朝食を運びながら笑って言った。
｢男のいる前は絶対に飲まないでね。｣
｢はい！｣
元気に返事をするAを見てなんだか少し不安になるゆま。
Aはいただきます、と言って朝食を食べ始めた。
｢あれ、今日は急ぎ？｣
｢はい。今日、朝からYouTubeの方で撮影です。｣
｢おー、誰と。｣
｢uuumクリエイターで集まるんですよ。もう少しでUfesなので。｣
えー、いいなあ、とゆまが言う。
Aはドヤ顔をゆまに向けた。
忘れていたかもしれないが、Aは小豆やぶんけいに次いでuuum所属なのである。
｢Ufes楽しそうだな……って、そういえば踊フェスももう少しじゃん。｣
ゆまがスマホの予定帳を眺めながら驚く。
Aがうんうん、と頷いていた。
｢Ufesの3日後に踊フェスですね。｣
｢売れっ子だねえ。｣
｢そうですね。｣
へへへと笑うAを小突いてゆまは席を立った。
｢俺も10時くらいに出る。片付けしとくから出かける用意してていいよ。ご飯ありがとうね。｣
｢はい！ありがとうございます。｣
｢帰ったら鍋しよう。｣
Aの顔がぱあっと輝いた。
全力で首を縦に振るAを見て、ゆまは思わず笑ってしまう。
｢ゆまさんの今日の予定はなんですか？｣
｢俺はねー次のツアーのリハ。｣
｢頑張ってください！｣
｢うん。頑張る。｣
Aは微笑みながら席を立った。
洗面台で化粧を済ませ、髪を巻く。
外ハネハープアップだ。
インナーカラーの青がよく映える。
Aはあ、と思い出してリビングに戻り、ゆまに言った。
｢今日帰りに｣
｢A、電話鳴ってるよー？｣
言いかけてゆまが声をかけた。
｢あ、はーい！｣
ブルブル震えるAのスマホを手渡しするゆま。
｢ありがとうございます……もしもし。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「YouTuber」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuki(プロフ) - もう更新しないのでしょうか…続きが気になります…！！ (2020年6月2日 21時) (
レス) id: 4193d3e44a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：糯 | 作成日時：2020年4月10日 5時
