Love Swing【SLH】番外編

(海乃さんリク) ページ26

｢あれから2人はどうなったんだい。｣


いりえとにいなは事務室にいた。


雑に出されたお茶を飲むにいな。


｢それは……どの、2人の……話？｣


にいなは困っていた。


軽いノリでゴシップ調査するとは言ったもののAとしらはんの関係の調査報告にあたってゆまの話は欠かせない。


先日のAのストーカー事件の報告をしたはいいものの、にいなは友人の恋愛事情を筒抜けにする訳にはいかない。


｢ゆま君とA君の関係も興味深い。なんてったってしらはん先生と三角関係だからね。僕が知りたいのは……とりあえず、A君としらはん先生のその後かな。｣


にいなは変わらず戸惑いながらだか報告をする。


｢からすから聞いたら、教室ではいつも通り。でもたまに補習授業が放課後にあるらしくて……今日もあるとか言ってた気がす｣


｢よし、化学室へ行こう！｣


いりえは意気揚々と立ち上がり、事務室の扉に手をかける。


｢え、ちょっと！｣


｢にいなも来なよ、ちょっと覗き見するだけじゃん！｣


｢えぇ……｣


そうして2人はAとしらはんがいるであろう化学実験室に向かって行ったのだった。


廊下には吹奏楽部員がちらほら通るだけで化学室前に来ると人通りが少なくなっていった。


｢電気ついてる。行こう。｣


化学実験室の内側のカーテンが少し開いている隙間から授業中の2人の様子が見えた。


いりえの後ろからちらっと顔をのぞかせる。


薄暗い実験室で何が行われているのだろうか。


いりえとにいなは興味津々に中を覗き込む。


耳を澄ますと中の声が微かに聞こえてきた。


｢────────となる。つまり……A、聞いてるか。｣


｢聞いてる。｣


｢嘘だろ。また何か悩みでもあるのか。俺に話してみろ。｣


｢……ほんとになにもないから。｣


聞こえる怪しげな会話。


いりえがにやにやしながらにいなの耳元で囁く。


｢これはあれだね……僕には続きが分かるよ。『悩みがあるなら言ってみな。』っていうしらはん先生に対してA君は『……先生のことで悩んでるのに……鈍感、バカ♡』これだよこれ。僕が待ち望んでいた学校の禁断の恋路！！｣


｢うるさい、気づかれるでしょ！｣


どん、といりえを小突くにいな。


｢わっ！｣


驚いて教室の扉にぶつかるいりえ。


物音が鳴り、教室の中の2人が振り返った。


｢誰かいるのか。A……百田はそこにいろ。｣


しらはんの声が響く。


｢に、逃げよ！｣

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