このまま一生、《鬼滅の刃》end1-2

ツアー終了 ページ7

その後も愛川さんの手柄の横取りの場面や、隊服への細工、屋敷への悪戯など様々な場面を見せられた。


もう誰1人として現実を認めない者はおらず、全員が俯き、なんとも言えない暗い雰囲気が漂うばかりであった。


月「ふぅ、じゃあ大体見終わったし、帰ろっか！
じゃあ飛ぶよ〜」


彼の合図とともに私達はまた意識を失った。




帰った時の反動はどうなるのだろうか。
かなり長い間過去で過ごしたから反動もそれなりに大きいはずだが……







意識の浮上。

い草の香りが鼻腔を擽る。

………ここは？


産「！
A、やっと起きたんだね！
他の子供達まだ起きていないけれど、君が起きてくれて安心したよ。」

まだはっきりとしない頭にフワフワとした聞き覚えのある声が響く。


『おやかた、さま……？』


気がつけば柱達と炭治郎達は産屋敷邸のベットに寝かされていた。


時化空は体ごと過去に飛ぶ。
ベットに寝かせるなんてできないはずだ。


……肉体はここに残っていた？


『お館様、私達はどのくらい眠っていましたか？』

産「1時間ぐらいだろうか……
誰も魘されたりも、寝返りもなく、何も動きが無かったんだ。本当に心配したんだよ。」

1時間…………私たちが過去に飛んでいた時間の3分の1程度だろうか。

時間の対価がおかしい。

悶々とその事を考えている内に次々に他の柱達も炭治郎達も目を覚ました。


顔を真っ青にして、今まで信じて守ってきたものに裏切られた絶望
自分の考えは間違っていたということに対する苛立ち
……数々の感情が混ざっているのだろう。

会議が始まる前とは全く逆の面立ちとなっていた。

チラリと隣の愛川を見る。

冷や汗がダラダラと流れ落ち、過呼吸気味になっている。
しかしそれを介抱する柱達はいない。

あまね様が隣に付き添ってはいるが。



音「な、なぁ愛川。
………………さっき俺らが見てきた事は、本当なの、か？」

ようやっと口を開いたのは音柱。
流れる重い沈黙に耐えられなかったのだろう。

彼もまた、苦い顔をしている。



愛「……………………」

沈黙がまた流れる。

きっと彼らは先程までの事を否定欲しかった。

だが否定の言葉は返ってこなかった。




私たちの先は一歩も歩めない程真っ黒に染まっている。

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