・ ページ5
・
あれから、誰も何も言葉を発しないで固まる空気に私は耐えられず、逃げるように図書館に駆け込んだ。
いつも笑顔でいらっしゃい、そう言ってくれる司書さんもいない。
別に、ずっと図書館にいるわけじゃないんだから当たり前だ。だけど、なんだか今だけはそれさえも異様に感じてしまって私は急いで奥の椅子に座った。
『なんなの……』
呟いた言葉は誰にも拾われることなく、私はため息をついた。もう一度アドニスの物語を読んでみようと思い本棚に目を向けると、
『あれ、ない』
アドニスの物語と、七冊の神の話がごっそりと抜けていた。
この空間の図書は貸出が禁止されているはず。わざわざ読みに来る人なんていないから好きな時に読み返せて良かったのに。
『司書さんが持ってるのかな』
「何を探しているの？」
誰にも拾われないと思った言葉が今度は見知らぬ声に拾われた。
振り返ってみるとそこには少し筋肉のついた優しそうな男子生徒がいた。
……なんだ、この前の人じゃないのか。
もしかしたら、と思ったけど髪色は深緑じゃないし、この人は前髪も長くなかった。
JN「僕はジェノだよ。ヘチャンやジェミンとは友達。」
勝手に自己紹介してくれたその人はにこにこして握手を求めてきた。
今どき、挨拶と一緒に握手するなんて珍しい。
『あ、えっと、私はA。2年3組。』
ぎこちなく自己紹介をして手を握る。
その手の冷たさと思った以上の力強さに小さくあ、と声が漏れる。
JN「ふふ、ごめんね、冷たいよね」
『あ、ううん、』
？「サモエド〜何してるのぉ〜」
ジェノさんの後ろからまた新しい顔がひょこっと現れてパチリと目が合う。
？「あぁ〜、ふむふむ、なるほどねぇ」
その人は整った顔をふにゃふにゃと崩して私の前まで来るとジェノさんと握手していた手を無理やり解いて私に抱きついた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 604人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうき(プロフ) - ドリムの子達でギリシャ神話読めるとは💚最高さがて悶え中です！素敵な供給ありがとうございます (4月1日 2時) (
レス) @page1 id: 466922bcc4 (このIDを非表示/違反報告)
- 神話系大好き！！ (3月28日 22時) (レス) id: e69a2fd2c3 (このIDを非表示/違反報告)
にゅ(プロフ) - ドリーさん» ご指摘ありがとうございます(T^T)引き続き楽しんで頂けたら幸いです、、！ (3月28日 18時) (レス) id: 4ed3a97a79 (このIDを非表示/違反報告)
ドリー(プロフ) - すみませんオリジナルフラグが付いてますよ‼️ (3月28日 13時) (レス) @page8 id: 64f588d139 (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しみ (3月28日 13時) (レス) id: 6ea9e976aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゅ | 作成日時：2024年3月27日 23時
