_百七十訓 ページ27
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流れるようにオンボロ店内に入った万事屋、第七師団御一行は、雑な出されたお冷を目の前にソファーに腰掛ける。
カウンターに立つ星海坊主は、あの中からそっと外れている白髪頭を目の前にため息を吐いた。
「揃いも揃って宇宙招待券ねェ。そりゃあ随分と仲良しなこった」
「タダで旅行できんだ。楽しまなきゃ損ってもんよ」
金欠舐めんじゃねーよ等訴える銀時の目に、彼は「手紙」と、呟く。
思わず聞き返した銀時に、星海坊主は続けて話した。
「……神楽への手紙は」
「ンなもん届いてねェよ。何?もしかしてこのこと伝えてたのか?」
行先での建物破壊の被害で、宇宙一のエイリアンハンターである彼でも赤字続きなことは神楽の口から聞いていた。
親子の間での手紙のやり取りでそんな話をするのは何度か耳にしていたし、正直彼女にとってもこの居酒屋破壊事件も自身の父親なら無くは無い話であり銀時を始め周りも特に深くは考えていない。
「…そうか」
「あぁ?」
だがしかし、一瞬ではあるが彼の顔が険しくなるのを銀時は見逃さなかった。
「この星は危ねェ。早く帰ることを勧めるぜ」
死にたくなきゃな。
後ろを振り返ったので、男の表情は読み取れない。だが、深みのある言い方に何も無いとは考えられなかった。
その意味を聞きたくて、出しかけた声は荒々しいドアの開ける音にかき消される。
「女性には優しく扱えと習わなかったか。そんなんだから寝取られたんだよ。奥さん美人だったもんなァ?男もなかなかイケメンだったし」
「何年前の話しとンだゴラ!!」
グルグルにロープで上半身を縛られた金髪の女は、男に蹴られ両手の使えない状況地面に倒れ込んだ。
「ちょッ父さん!仮にもこの人俺の上司だから…!仮にも!」
「なんで二回言った?」
聞き覚えのある声が二つ。青年のような明るい声色と聞きなれた女の声。
ピンと垂れていた触覚を立てて後ろを振り返ればやはり自身の艦の部下二人。そして先程の老人もいた。
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yuuna1202(プロフ) - 本当ですか!嬉しいです!! (2020年12月8日 11時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 私この小説を応援してます!補佐さんが呪術廻戦に転生するのも見てみたいなと思います!? (2020年12月7日 19時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年7月17日 23時