_百六十九訓 ページ26
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烙陽での一件以来の再会をした第七師団と万事屋御一行。Aは未だ行方不明中だ。
神楽はハンッと鼻で笑い、銀時の名を呼んだ。
「こんなヤツらほっといて早く行こうよ。丁度いい店見つけたアル」
「あッそうなんですよ銀さん。それが…」
口を開きかけた時、新八は思い出したかのように口を手で覆った。
そんな新八の気遣いを気付かぬ少女は、兄との口喧嘩で機嫌が悪いせいか少し大きな声で言い放つ。
「パピーがいたネ。銀ちゃんも会いに行こうヨ」
「「…………は?」」
なんてことを言っているんだ神楽ちゃん。
ハラハラとしながら阿伏兎はチラリと横にいる団長を見ると、最近では珍しい前のような貼り付けた笑顔だ。
この旅行どうなる事やら…。不安に不安が重なる昼過ぎだった。
***
「やってられるかァァァァ!!!!」
オンボロな小さな店の中、そんな声が外にまで響き渡る。
オンボロはそこらで言うオンボロとは違う。正真正銘のオンボロ。半分に割れた看板は、ガムテープで何とかくっつきそっと立てかけてある。窓はとても換気が良い状況。酷い強盗にでもあったのかと聞きたいほど。
そんな店から出てきたのは神楽、そして神威の父である星海坊主。いつもの中華服ではなく、まるで大工にでもなったかのような作業着だ。
「……おいおいお父さん。こんなところで何してんの」
「酔いだくれて店ぶっ壊したらしいネ。何やってんだヨハゲ」
「神楽ちゃん。それさっきも言われたからね。お父さん流石に心がボロボロ…」
頭に巻いたタオルを外し、曇りだと言うのに彼の頭は輝いている。
そんな光り輝く頭を持つ男は、銀時を見てまた殴りたくなる衝動が強くなる。腑抜けた面を見るとこで溜まったらイライラが爆発しそうだ。
だがしかしその少し先にいる腹立たしい女の愛人男 らしき大柄の男と、当たりをキョロキョロし頭のアンテナを揺らす我息子。
「……………」
「う、星海坊主さん!ダメですよ!?」
烙陽での勃発後の再開。何をしでかすか分からない彼ら親子の行動に新八が一声かける。
そんな彼は珍しいほど大人しく身を引いたのだった。
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yuuna1202(プロフ) - 本当ですか!嬉しいです!! (2020年12月8日 11時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 私この小説を応援してます!補佐さんが呪術廻戦に転生するのも見てみたいなと思います!? (2020年12月7日 19時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年7月17日 23時