_百六十五訓 ページ22
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___…ねぇ、お願い
あの人を___…。
「___…ッ………!」
ハッとして目が覚めると泊まったホテルのベッドの上だった。
まだ外は薄暗い。時計を見ればいつもならまだ夢の中、寝ている時間だ。何故か荒い息を落ち着かせる。こんなに自分が焦っているなんて珍しいと神威は思っていた。
「(あまり覚えてないけど、久しぶりに夢なんか見たな…)」
どんなものかは忘れたが、懐かしい声が聞こえた気がする。なのに何故こんなにもいい気分では無いのだろうか。
そんなことを考えながら、覚めてしまった目をもう一度閉じて横になる時、キラキラと光る金色が視界に入った。
「…………ん?」
バッ飛び起き、顔にかかっている長い髪をそっと撫でるように避ければ見慣れた女の顔だ。
いつもと同じようで、でもこんなにも腑抜けた顔をするなど彼女を恐れる団員達は考えられないだらう。
「(いやいやいや、なんでいるんだよ…)」
突っ込まずにはいられなかった。
***
「ああ、昨日?お互い飲みまくってべろべろで部屋に戻っただろ」
覚えてないのか?なんて言いたげな表情をしながら、歯を磨くA。あれから神威が一睡も出来なかったなんて当の本人は知りもしないのだろう。
「部屋に戻るのめんどくさかったんだ。風呂に入る気力もなかったし」
「(……女の言うセリフじゃない)」
ポタポタとAから滴る髪についた水滴。その上風呂上がりの為薄めの服のみだ。
あまり見つめていると大変なことになりそうなので、さっさと着替えて一階にある朝ごはんのビュッフェでも食い尽くしてこよう。そう考えた。
「おーい、起きてっかー?」
「副団長、お前だけ仲間はずれだったな」
「若者の中におっさんは馴染めねぇよ」
「お前言うほど老けてない」
え、それ本気で言ってる?
阿伏兎本人ですら目で訴えてきた。Aからはおっさんだと思うからおっさん何だ。私は姉さんだと思ってるから自分で姉さんと言っている等、謎のアドバイスを受けた副団長であった。
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yuuna1202(プロフ) - 本当ですか!嬉しいです!! (2020年12月8日 11時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 私この小説を応援してます!補佐さんが呪術廻戦に転生するのも見てみたいなと思います!? (2020年12月7日 19時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年7月17日 23時