温厚篤実だなんて誰が言った【緑谷出久】 (ページ7)

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7.お弁当にカツを入れたページ7

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教室に入ってすぐにキャーキャーと黄色い声に包まれながら担任に進められ挨拶をする。

「学年集会でも挨拶しましたが改めまして藤原Aです。一年間よろしくお願いします！」

ニッコリと雑誌やSNSに上がっている可愛いのお手本のような笑顔を浮かべて挨拶を済ませた。

とてもやりずらい。中学の地元の奴らにはアイドルやる前から知られているけれど、やっぱりこの猫被りスタイルは元の性格からしてキツいったらありゃしない。
クラスからは可愛い！やら思ったよりちっちゃーい！等と褒め言葉。ちっちゃいは褒め言葉じゃねぇだろ殴んぞ。
休み時間に入れば話しかけてくれるコミュ力高い男女に囲まれる。

「褒めてくれるのも握手も嬉しいんだけど、出来れば普通のクラスメイトとして接してくれた方が嬉しいかな！」

……なーんて。ぜってー無理だけど。

＿＿…四時間目が終わって職員室に呼ばれてるから…と、て昨日に理由つけて抜け出す。なにか書類を提出するかのようにファイルと筆箱を片手にお弁当箱の入った鞄を持って逃げ出した。
広い中庭の人が全く通らないような端の場所。前もって探検していた所この場所を見つけたのだ。一人で落ち着くのにはいい場所だ。

「ごめん！Aちゃん遅れた！」
「女待たせんなよ」

組んでいた足を下ろして持っていた黒い風呂敷に包まれたお弁当を渡す。コテンと首を傾げて何？これとでも言いたげなくそに眉を寄せる。

「お弁当。アンタの」
「……あっそういえば購買寄るの忘れてた」
「だと思ったし誘ったのあたしだもん。お昼ぐらいは奢ってあげる」

そのまま受け取った途端、ありがとうなんてふにゃりと顔を緩めた。

「…………」

相変わらず赤ちゃんみたいな顔してる男。

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