温厚篤実だなんて誰が言った【緑谷出久】 (ページ5)

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5.腐れブロッコリーページ5

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振り返った茶髪の女子が、先程まで後ろにいたコイツがいなくなって首を傾げた。デクくーん！と可愛らしい声で幼い頃から勝己に呼ばれていた蔑称で呼ぶ。

「アンタさぁ女子にデクって呼ばれるのどうなのよ」
「Aひゃん！？」
「うわ女子みてーな声。きっも」

朝の集会での挨拶が終わり一段落つこうとお手洗い行ってきます、なんて単純な嘘を吐きと抜け出した。その先で見つけた緑色の頭。

入っていた女子トイレから幼馴染を引っ張り引きずり込むと案外簡単に捕まれられた。

「あ、えっと…久しぶり！テレビ見たよ！！知らない間にAちゃんすっごい大きい存在になったって言うか！その、前も言ったけど改めておめでとう！」
「……ありがとう」

久しぶりに面と向かってる話す幼馴染に変に緊張して言葉があまり出てこない。
何のために雄英に入学したのよ。……あ、別にコイツに会う為とかじゃなくてシンプルに『可愛くて人気のアイドルが雄英高校に通ってる』なんてこんな上手い話ないよね。要は肩書き目的。

口を開けばペラペラとあたしの事務所やらSNSやらの話をしている幼馴染に気分が上がった。やっぱり総選挙の結果は色んな人に名が知れていい結果だ。ヒーローオタクのコイツが夜中に調べるほどに、だ。

「アンタ今日お昼は？食堂？」
「うん。そのつもりだけどAちゃんも行く？案内しようか？」
「あたしが食堂なんて行ったら注目の的よ。しばらくの間はこっそり中庭で食べようと思ってる」
「そっか、そうだよね…Aちゃん人気者だなぁ」
「……一緒に来てくんない？高校始まってすぬぼっちメシってなんか嫌だし。アンタみたいな目立たないブロッコリーなら大丈夫よ」

目立たないブロッコリー…。
あたしの言葉を繰り返しどことなくどんよりとしている。別に嘘じゃないし。

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