温厚篤実だなんて誰が言った【緑谷出久】 (ページ14)

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14.美味しい一杯ページ14

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甘い茶菓子や紅茶に囲まれキャッキャとガールズトークに花を咲かせるクラスメイト。

「藤原さん来てくれてよかった〜！アイドルって忙しいもんね。やっぱ大変？」
「同級生だしさん付けなんていいよ。そうだね、最近はいつもより忙しいけどダンスとかは好きだったから苦では無いな」
「うちAちゃんが初センターになった時の曲フルで踊れるよ〜！」
「それ懐かしい！なら今度一緒に踊る？」
「クラス全員で完コピして担任にでも見せたら大笑いしそう！」

本音とアイドルキャラを入れたら少しは自然体でいられる。不自然すぎるとかえって嫌われそうだし、ただでさえSNSで叩かれてる時もあるんだから。

「ズバリ！藤原ちゃんのアイドルの心得は！？」
「【炎上無縁】かな……！」
「おぉ！今どきっぽーい！」

結構避けてきたけど、みんないい人そう。それだけでここの居心地が良くなってきた。

普通科ってヒーロー科に落ちた人が流れていくって勝己から聞いてたけど別にキツそうじゃないじゃん。

「私の話もいいけどみんなは？一学期ごっそりいなかったからなんか聞きたい！」
「なんかあるかなぁ」
「あるとしたらヒーロー科に宣戦布告した話くらいじゃない？」

宣戦布告？思わず顔がひきつった。
あーそういや勝己言ってたなぁ。クソみてーな腹立つ奴らが教室前に溜まってたって。

「中々凄くない？」
「先陣切ってたのは心操だよ」

心操？誰だっけ…とクラスメイトの名簿を思い出すがピンとくる人がいない。考え込むあたしに隣の席の子がスマホの画面を見せてきた。

「体育祭の時も一人だけ普通科で決勝戦進んだんだ。普通科のヒーローって呼ばれてるの」
「それだけ個性が凄いってことじゃ、あ」
「どうかなさいました？」
「う、ううん。なんでもない！ちょっと相手の子も迫力あるなぁって！」

「緑谷のことか？」

突然背後からの声に体が揺れる。びっくりしたなあ！？誰だてめぇ！

思わずギロっと睨みながら振り返ると例の心操くんとやらがいた。噂をしていたらなんとやらだ。本人ご登場。

「心操も混ざる〜？女子会だけどさ」
「俺は忘れ物取りに来ただけ。すぐ帰る」

あんまり表情が出ない子なのか、用が済んだら本当に直ぐ出て言ってしまった。

「…クール男子系？なの？」
「Aちゃんタイプ？」
「まーったく！なら皆のタイプの人教えて！」
「恋バナーっ！」

その手の話はあたしに振ってこないでくれ。願い、来たとしてもナチュラルに交わしながらガールズトークを楽しんでいた。
途中発目の話も出てきて驚いたけど、あの子もあの子で体育祭目立っていたみたい。

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