温厚篤実だなんて誰が言った【緑谷出久】 (ページ2)

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2.気になるアイドルページ2

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「はぁ……」

…眠れない。幼馴染のせいだ眠れやしない。
上鳴くん達が見ていたあのバラエティー番組の情報が頭の中で無限ループしている。僕が知る彼女の真逆の説明が。
それより、Aちゃんがあんなに有名になっていたなんて僕は知らなかった。始めるみたいなことは言っていたけど…、

＿＿…中一の初夏の事を思い出す。自慢げに見せてきた一枚の合格通知。それを手に取り長々と書かれている文字を読み叫び声を上げた途端横からはケラケラと笑う声が聞こえる。

「春休みにスカウトされて試しにオーディション受けてみたの。ま、今の今までよくこんな美少女放ってたねって感じよ」
「それはいいんだけど。え！？本気でやるの！？」

Aちゃんは基本なんでも平均以上にできるのに自分から行動に移さないタイプ。昔から気分屋で飽き性だった彼女がこんな大きな仕事を受けたのだ。そりゃあもうびっくりする。

「もちろん本気よ。やるからにはとことんやってやるもの！」
「僕応援してるよ！」

元気よく歯を見せて大きく笑いながら言ったありがとう。よく覚えてる。

「出久ならそう言うと思ってた…！」

それから二年三年とクラスも離れ、僕もオールマイトとの訓練があったから日に日に話す機会もなくなってしまった。自分のことで頭いっぱいでAちゃんの行った高校すら知らなかった。

スマホで藤原Aを調べるがどれも知らない笑顔で穏やかに笑う彼女の写真が出てくるばかり。
だけどライブの時の切り抜きは真っ直ぐな強い目でカメラに視線を送る。思わず心臓が跳ねた。

「……」

知らないうちに幼馴染が遠い存在になってしまった。

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