_二十七訓 ページ28
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「ねぇ、阿伏兎。Aは?」
「知らねェ。最近は部屋に籠りっきりだ」
話し相手が居ないと寂しいので阿伏兎がよく貯まった仕事をする食堂に訪れると案の定、死にそうな顔でペンを握っていた。
丁度お腹も空いていたので適当にものを頼んで阿伏兎と向かい合わせで座る。
「いいですねぇ、団長様は気楽に毎日を過ごせてよ」
「阿伏兎もそれ以上仕事してたら本当に死ぬんじゃない?」
「誰のせいでこんなになってると思ってんだ」
知ーらない、なんて言っていると頼んでいた物が運ばれてくる。早速かきこもうとスプーンを持った時にAが血相を変えて食堂に駆け込んできた。
久しぶりに顔見たな〜、なんて考えていると顔のすぐ目の前に何らかの小さな紙を見せられる。
「団長。この女どう思う」
「どうって……。まず近すぎて何も見えないから」
「え、あぁ、悪い悪い」
一度Aは離れて改めて写真を渡される。
そこには、黒髪で色白の泣きぼくろが特徴的な女が写っておりAに夜兎かどうかを聞けば違うと返ってくる。
「私とこの人どっちがいい?」
「なに急に」
「いいから、答えて」
「えぇー……、A?」
「どして?」
「だって強いでしょ?」
俺の女の基準は強い方がいい、ただそれだけだ。
そう目の前の彼女に伝えると聞く相手を間違えた等と溜息を吐かれた。
「はは、しぬ?」
「うわっ」
手元にあったフォークを投げておいた。軽々避けられたけど。ちなみに阿伏兎にも聞いてたけど熟女好きのおっさんなので何の参考にもならなかったらしく、さっさと帰って行った。
ただ一つ、一週間後は休みをくれと阿伏兎に伝えて。
「ねぇー、その女と休暇に何か関係あるのー?」
「とってもある。晋助の嫁(仮)」
「…………は?」
「聞いてたか?私の
ブツブツと呟いているA。一方俺は呆然として廊下に突っ立っていた。
あのシンスケが結婚……?なんでまたそんなの、てかなんで俺に報告ない訳?まぁ、後でそんなことは聞き詰めればいっか。
「ちぇっシンスケばっかりじゃん」
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水渚桃華 - 七瀬未来さんへ まだ少ししか読んでないですがこの作品面白いです。更新待ってます。 (2020年2月20日 17時) (レス) id: 3a85905bbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2020年2月18日 19時