今宵もまた君想フ

律儀 ページ27

「今夜は送っていく」なんて誠実な送りをしてくれる矢花くん、彼氏じゃないから手は繋げないし今矢花くんに相手がいるのかも好きな人がいるのかもわからない。



でも終電逃して隣に立って並んで歩くだけでも幸せでほかほかする。


そういえば矢花くん家どこだっけ。




他愛もない話をして見えてくる私の家。


楽しい時間はもう終わりかと寂しくなる反面、連絡がまた取れる喜びに浸る。



矢「ここだっけ」



　『そう。送ってくれてありがとうね。矢花くんの家ってこの辺だっけ…』



矢「家は実家だから中央線の奥。帰れないから友達の家に行くよ笑」



遠いのに丁寧に送り届けてくれる矢花くんの姿に心ときめきつつ、申し訳ないと思う。





このまま返すのは違うのではないか と考える。



申し訳ない気持ちを全面に出しながら、




　『うちくる？散らかってるけどそれでもよければ』



そう声をかけた。

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