光る星の行先 [手塚＊甘切] ページ1
冷める体温に包まれたその空間で、私達は２人、そこに立っていた。夏と云ってもまだ6月の半ば。夜は冷え、虫もまだ鳴いていない。
｢寒い……ですね｣
｢大丈夫か？やはり……今日は止めた方が良かったか？｣
私は腕を擦りながらポツリ呟いた。その詞を伝える相手はいたし、その相手を意識した発言だったが、その詞はぽとり地に落ちたような感じで、でもその人はそんな呟きでも丁寧に掬ってくれた。
｢いえ、大丈夫です。それに……｣
｢……それに？｣
｢今日、じゃないと…いけませんから｣
そう告げ、また無言が続く。夜がふけたビルの屋上から聞こえる音と言えば、少し通る車が排気ガスを吐きながら進んでいるエンジン音くらいだ。でも、そんな音ですら今この空間を埋めるにはちょうど良かった。
――言葉なんて要らない。
――今の私たちには。
｢……見ろ、A｣
声をかけられ、国光さんと同じ方を見た。そこには満点の星が広がっていた。
｢……綺麗ですね、国光さん｣
｢そうだな……綺麗だ｣
一つ一つの星がピカピカ光っている。次はどれが光るかと、小さい子どものようにワクワクしながらその空を見つめた。
｢知っているか？星の輝きというのは、何千年も前のものが今この地に届くそうだ。だから今輝いた星は、ずっと昔に光っていたものなんだ｣
｢そうなんですか……。ずっと、昔から｣
｢……だから、もうこの世に存在していない星が、今見えているのかもしれない｣
実に通り、でも切ない声で国光さんは教えてくれた。私はその人を見た。未だ上を見つめるその人の左手に自分の両手を包ませた。
｢……行かないで、は……ワガママですか？｣
｢そうだな……困ってしまうワガママだ｣
｢でも……嫌です、やっぱり｣
どうしても顔を見れない。私は俯きながらそう告げた。すると、国光さんの掌が私の頭を優しく撫でた。
｢大丈夫だ。例え離れていても……あの星のように互いの輝きを感じられると思う｣
｢……消えたりなんて、しませんよね。あのなかにあるかもしれない星みたいに｣
｢俺は消えたりなどしない。約束しよう｣
暖かな声が冷えきった身体にじわり染みて熱い。私はポロポロと涙を零した。国光さんは微笑み、その涙を拭ってくれた。そして、優しい口づけをくれた。
｢ん……｣
｢っ……ん…。必ず、お前の処へと戻ってくる｣
凛とした姿に、きっと嘘なんてない。私は貴方の輝きをここで見ています。だから、何時かまた私の傍で、大きく輝いて。
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美紅(プロフ) - リクエスト良いですか？ (2月11日 23時) (
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ミユウ - リクエストで高校生の種ヶ島修二と毛利寿三郎お願い申し上げます! (2018年4月30日 12時) (レス) id: d3b3df4a73 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ猫(プロフ) - リクエストで、財前の狂愛をお願いします！ (2017年6月29日 15時) (レス) id: 3d77f5092a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：通りすがりの人 | 作成日時：2016年7月19日 0時
