食事*46* ページ46
『あの、大倶利伽羅さん』
襖越しに声をかけると、素っ気なく「何だ」と返事が返ってきた。
いや・・・・素っ気ないだけでなく、心なしか苦しそうだ。
『開けますよ・・・?』
「・・・・・勝手にしろ」
『!し、失礼します』
ゆっくりと襖を開けると、薄く目を開けて座っている大倶利伽羅さんがいた。
肩で息をしている様子に、もうそんなに長くは持たないんじゃないかと不安になってくる。
『体調のほうは・・・』
「あんたには関係のないことだ。・・・・・大体、何故来た」
『私もそうですけど、鶴丸さんが心配していましたから。もうそろそろお腹も限界だろうから、様子を見に行ってやってくれと』
「・・・!鶴丸と和解したのか・・・・・!?」
驚いたように目を見開かせる。
そういえば大和守さんも、鶴丸さんと和解するのは無理だって言ってた。
きっと大倶利伽羅さんもそう思っていたんだろうな・・・。
「・・・・あんたは本当に・・・・・予想以上というか・・・」
『え?』
「いや、単純にバカなのか?」
『バカ!?』
流石にそれはひどくないですか!?
「あんたが単純で、嘘がつけなくて、お人好しだから鶴丸も和解する気になったんだろうな・・・・」
ふっ、と私の瞳を見つめ、優しく微笑む。
大倶利伽羅さんが笑ったところ見るの、初めてかもしれない・・・・。
「・・・とっくに分かっていた・・・鶴丸が言いたいことは。審神者を食うことが、あいつにとって生きる手段であっても決して幸せになるための行動じゃない」
『・・・・・初代の主さんを食べたって・・・・その時、涙が出たって言ってました・・・。疎ましく扱われたって、彼は好きでやってるんじゃないと思います・・・・・』
「当たり前だ。・・・・あいつは・・・初代を食べたあの日から、「己の人生」について考えなくなった。何がしたいかも、何が嫌かも、何が幸せかも、結局どうでもよくなるなら・・・・無駄になるなら考える必要はないと・・・・・・そう言っていた」
“無駄”という言葉が、大倶利伽羅さんや鶴丸さんを縛って苦しめていた。
鶴丸さんは希望を捨てて、本能のままに生きて“人でなくなること”を選んだ。
・・・・だけど。
貴方がまだ、どんなに小さな希望でも縋っていたいと願うのなら。
『・・・大倶利伽羅さん』
「?何だ」
『私に、貴方を救わせてください』
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みかづち(プロフ) - 雨蛙さん» ありがとうございます!更新頑張っていきます!! (2019年6月1日 21時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
雨蛙 - 本当におもしろいです!久しぶりにこういう話を読んだので続きが気になります(///∇///)更新頑張ってください!! (2019年5月19日 18時) (レス) id: 43a251e5e3 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - 緑@最推し信濃さん» ありがとうございます!更新頑張ります!!(`・ω・´)ゞ (2019年5月4日 11時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
緑@最推し信濃 - めっっっっちゃ、面白いです!!!更新頑張って下さい!応援してます(^o^) (2019年5月4日 8時) (レス) id: a246b0d986 (このIDを非表示/違反報告)
みかづち(プロフ) - みるくてぃ@毒占欲の人さん» そう言っていただきとても嬉しいです!!もう一つの方も頑張って更新します!!! (2019年1月12日 18時) (レス) id: 69b5dcb367 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかづち | 作成日時:2018年12月20日 21時