～すの恋～ (ページ2)

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youside

そう言って、一応お邪魔しますと言いながらさっさと家に上がり込んで、私の部屋がある2回を目指す。

「寒いじゃん！！！」

背中に向かって私が言えば、階段に足を1歩かけた状態で振り返る。

康二「暖房器具っていう文明の力を使うねん！」

「灯油ないよ、入れないと」

康二「分かった、俺これ置いたら灯油入れるわ」

あっそう、私は短く言って、仕方なくアイスピックを取りにキッチンに入っていった。

康ちゃんがトントンと規則正しい音を立てて上がって行ったのが聞こえた。

康ちゃんは私の家なのに、本当に自分の家のように振る舞う。

別に、それが悪いわけじゃないんだけど、一体全体ここは誰の家なの？って思うことが多々あった。

私は言われた通り、アイスピックとグラスを1個、見つけたチョコレート菓子をトレーに載せて、階段を上がった。

階段の半ば、踊り場で灯油缶を持った康ちゃんとすれ違う。

康二「入れてくる」

「うん」

またトントンと、降りていく音を聞く。

がちゃっと玄関が開く音がしたら

「あら、康ちゃんいらっしゃい」

と、私のママの声がした。

康二「あ、こんにちは！」

母「あら、灯油入れるの？1番右から使ってくれる？」

康二「はい！」

ママは灯油を入れるという家族のような行為を康ちゃんがすることに驚くことは無いし、康ちゃんもどこに灯油が置いてあるかをきちんと知っていて、

まるで家族の一員のように、勝手知ったる家を歩き回る。

短い会話を交わして2人が入れ違いになっていく様子に、階段の最上部で私は耳を傾けていた。

康ちゃんとの関係は嫌いじゃない。

心地いいし、気を使わないし、嫌いじゃない。

駅なんかで待ち合わせると、康ちゃんは私の知ってる康ちゃんじゃないみたいで、そわそわするけど、家にいる時はやっぱり幼馴染みの康ちゃんだ。

昔よりずっと男らしくなって、なんだかんだやたら顔が整った男の人になったなんて、家では気にならないから。