ねぇ、いいんちょー。【桃】

ねぇ １６ ページ17

貴方side


ほんとにほんとに彼は不思議だ。


今までこんな人に出会ったことがないから、なんか変な感じしちゃうな〜。


今は授業中。



苺恋学園は勉学もしっかりしている。
都内の私立トップ3に入ってるくらいに頭がいい高校だ。


ちなみにクラスは成績順だ。


Aが1番高くて

Eが普通クラスくらいだ。



と言ってもＥでもめっちゃ頭いいんだけどね……




なんで私A組に入れたんだろう、謎。




でもせっかくA組に入れたなら、成績落とさないようにしなきゃな……！


そう思って先生の話に集中する。



すると、隣の席からなにか伸びてきて



そちらに目を向けると



さとみくんが小さな紙を差し出してきていた。



貴「……(なんだろう？)」



受け取ると、



中に書いてあったのは不格好なネコ。




思わずふふっと笑ってしまった。



すると隣から小声で



さ「いいんちょー笑った顔もかわいいね」


と言ってきた。




あの……ほんとに……


さとみくんはなにがしたいの……




そのままにしておくのもどうかと思い、


貰った小さな紙にネコちゃんを書いて


小さな文字で



『そう言うこと言うのやめて。恥ずかしくなっちゃうから。』


と添えた。




それを彼に差し出すと、彼はとても驚いた顔をしていた。



驚きながらも受け取ってくれる彼はきっと優しい人なんだと思う。



紙の内容をみると、




今まで見た事のないような、子供らしいへにゃりとした顔で微笑んでいた。



眉を少し下げ、口元は緩みきっている。




そんな彼の表情に




ｷｭﾝ




としている自分がいたのはきっと気のせいだ。

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