カ ケ ヒ キ . 【岩田剛典】

Eight ページ8

「西田さん、LDHって知ってる？」





タクシーの中で上司が見せてきた紙を覗いて見ると、驚く事に剛典がいる会社で思わずピクリと肩を揺らす。




「あれ、もしかしてファンとか？」
「そ、そんな事ないですよ」
「ふぅん。それで、今からそこ行くんだけどね」






……は！？

今からLDHに行くの！？





「な、何で行くんですか？」
「ウチの商品とコラボするんだって。……ふふ、これは売上アップを期待してもいいかもね」





喜んでる上司と裏腹に、私はズーンという効果音が付くほどに肩を落とす。








もしかしたら、彼が。

ーーーー、剛典が。






(って、やめやめ)





ブンブンと首を振って頭の中から彼の存在を掻き消す。




あくまで、仕事なんだ。

向こうは私のこと嫌いなわけだし。






(……嫌い、なんだよね)





変な期待に胸を弾ませていた数分前の自分を怒鳴ってやりたい。







彼は決して、
私のことを好きじゃない。

Nine→←Seven

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す