カ ケ ヒ キ . 【岩田剛典】

Thirty ページ30

「嫌です、絶対に嫌です」







夜の11時。
登坂さんの仕事が終わったらしく、電話がかかってきた。







その第一声が、









『明日ベルト持ってこい』









って、絶対嫌ですから！
だって私がLDHにベルト一つという、いかにもいかがわしくて謎すぎる荷物を持って行くって事でしょ。







そんなの意味深すぎる。
他の人から見たら意味深でしかない。









『あ？なんなのお前』
「何なのって、なんですか……」
『じゃあ、いいんだ？』









ふふん、と鼻で笑っている様な登坂さんのその声。









「な、な、何がですか」









答えなんて分かっているはずなのに、
思わずそう聞いてしまう。







きっと、剛典に私がまだ未練タラタラだって事をバラすんだ。









『昨日凄かったな〜、まさかAがあんなに大胆ーー』
「ッ！？明日！届けさせて頂きます！」









それだけ言って急いで電話を切る。









「そっち……っ、」









真っ赤になった顔を両手で包み込むとひんやりとした指先が頬にあたって気持ちがいい。









どうやら、



思っている以上に、私の弱点は登坂さんの手の中にあるのかもしれない。

Thirty one→←Twenty nine

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す