私の執事 【GENE】

18 ページ18

･






玲｢執事だよ、俺｣


A『知ってるよそんなの』


玲｢俺以外のこの屋敷の男も、みんな執事だよ｣


A『知ってるってば』


玲｢執事とお嬢様が恋愛禁止なのも知ってるでしょ｣


A『知ってるって』


玲｢でもルールって破るためにあるから｣


A『え？』






ビックリして玲於くんに顔を向けると、冗談を言っているとは思えない目で私に話しかけていた。








A『廊下は走るなーとかのルールはそりゃあ破っちゃうけど…』


玲｢でもお前も恋愛禁止破りたくなるよ、たぶん｣


A『なんで？…っていうかそれじゃあ過去に破ったみたいな言い方じゃん笑』






その瞬間、玲於の顔が強(こわ)ばった。





A『…もしかして玲於く、』

玲｢早く支度しろよ｣






そう言って出口に向かう玲於くんの背中は、

小さく見えて、悲しそうな背中だった。






過去にお嬢様と恋愛したことがある、ってこと？



聞きたい。



聞くなら変な噂とかじゃなくて、


本当のことを玲於くんの口から、





聞きたい。









A『っ玲於くん！』


玲｢…わりぃA、後にして｣








ドアノブに手をかけた玲於くんを呼び止めると、

震えた声でそう言った。




…泣いてる？








玲｢、早く支度しろよ｣








玲於は涙声で顔を私に向けないまま、この部屋を出ていった。








･

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す