いろどるせかい (青黄緑橙) (ページ35)

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ベビーベッドの上ですやすや眠るうちの天使と、

それを飽きもせずずーっと眺めている亮。

黄「このタレタレの目尻と、ちょっとアヒル口なんは可哀想やけど俺に似てしもたな…でも、クリッとして大きい目と可愛い鼻は章ちゃんそっくり」

そら、そうやろ。俺と亮の子やねんもん。

黄「後は、遠慮ばっかりする所も章ちゃん似やな」

え、そんなん、まだ生まれたばっかりやのに、判らんやん？

ていうか、なにそれ、俺、ディスられてへん！？

黄「俺、章ちゃんが遠慮してるん見るだけでもツライのに、この子にまで遠慮されたら立ち直られへん」

亮は、壊れ物にでも触るように、ひよこを慎重に抱き上げると、胸に収め愛おしそうに頬を寄せる。

黄「…これからは、この子とばっかり仲良くして、俺は知らんぷりされるんかな」

哀しい目をして背を向けると、どこかへ行ってしまう亮。

青「え、亮、待って！？どこ行くん？ひよこ、置いてってよ！」

俺の声にチラッと振り返った亮は

黄「ほらな？この子の事しか興味ないんやろ？…行くわな」

そう言うと、なんの迷いもなく歩き出す。

青「イヤや！返して！！俺のひよこ返して！」

橙「心配せんで、章ちゃん」

青「丸！？まる、助けて！ひよこ取り返して！」

橙「だから、大丈夫やから。あの子は章ちゃんテイストが強すぎた」

青「…なに言うてるん！？」

橙「お腹におる頃から、亮ちんが何かする度に威嚇してたやろ？…あの子も本能で章ちゃんを守らなあかんって信号を送ってたんかもしらんな」

青「え、そんなストレスになってたん！？」

橙「しかも、章ちゃん、最近は亮ちんほったらかしにして、あの子にばっかり相談してたしな…、そら亮ちんもおもんないわ」

丸は、亮を追いかけて行き、ひよこを受け取る。

橙「安心して？ふたりがもっと大人になったら、この子返してあげるから」

青「え、そんな！」

俺は、ひよこを取り返すために走り出そうとするけど、後ろからすごい力で肩を掴まれ身動きがとれない

青「誰！？」

緑「やす…」

青「大倉！？」

緑「亮ちゃんには遠慮してしまうんやろ？それやったら俺と居ったら？」

手を差し伸べてくれて、にっこり笑うから、またその優しさに惹かれてしまいそうになる

背中を向ける亮
手を差し伸べてくれる大倉
俺から生まれたひよこ

俺は、

誰と一緒に居たいんやろ…