いろどるせかい (青黄緑橙) (ページ25)

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翌日の夕方

おかあさんに見送られて実家を後にし、満を持して向かうんは亮の学校。

そこは、俺らの卒業した中学から「一番近くて一番遠い」って言われている高校で、ほんま、中学の目と鼻の先にあるんやけど、何しろ偏差値がめちゃくちゃ高い公立で地元で通ってる子なんてひと握りくらいやった。

と、言うわけで、

下校時間を狙って校門が見える所で亮を待つ事にしたんやけど、知り合いに出くわす心配は皆無だった。

青「亮、まだかな…」

人混みに目を配りながら手に持った紙袋をブラブラ揺らす

中身は、昨日、家に帰る道すがら見つけたパスケース。

誕生日とごめんねの気持ちを込めて買って来た。

絶対、絶対に、今日のうちに亮とのわだかまりを解くんや。そのためやったら１時間でも２時間でも待つ！

…覚悟でいたのに

黄「え！？なんで？」

意外と直ぐに現れて、心の準備が追いつかなかった。

青「あ、えっと、その、おかえり」

黄「た、だいま…」

青「………//」

黄「………//」

しばし、往来の真ん中で見つめ合って固まるふたり。

だって、…制服の亮、久しぶりに見たし。

亮の学校はわりかし服装が自由やから、今日もグレーのパーカーに制服のズボンっていうなんて事ない格好で、唯一、アレって思ったんは珍しく空色のキャップなんか被ってる事くらいやねんけど…

背が伸びたせいか、中学ん時とは雰囲気が全然違う。

とにもかくにも、

…変に意識してしもうて、うまく話が切り出せない//

黄「ちょ、…章ちゃん、どうしたんて！？」

青「あ、あ！ああ…、コレ！」

とりあえずは、手に持っていた紙袋を渡す

黄「え、ナニコレ？」

青「あ、…あの、誕生日やってんてな。そんで、遅れてんけど、よかったら、プレゼント…//」

もう、なんもかんも順番がめちゃくちゃやけど、上手に軌道修正する余裕がない。流れに身をまかせるしか術がなかった。

黄「…俺に？」

青「うん…、、、//」

俯いたまま応えると、亮は被ってたキャップを俺の頭に乗せた

青「？」

黄「よう似合うわ。よかった」

青「……？」

黄「なんでもない。…行こ？」

行こ、って言われても、もちろんどこに行くんかはサッパリわからん。けど、亮が手を握ってくれるから。安心してついて行った。