ひろがるせかい (青黄緑橙) (ページ32)

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ーあの後、

大倉とはそれ以上何もなかった。

ただ、静かに泣いているんを知らん顔して過ごしただけ。

どんなに「嫉妬した」とか声を荒げても、根はやっぱり優しいって…俺はそれを知ってる。

だから、なんとかして力になりたかったんやけど、何の役にも立てなかった。

大倉はテストが始まるまでがっつり学校を休み、集中する時間を手に入れる事が出来たんやけど、この方法が３年生になるまで使えるのかというと、厳しいものがあった。

単純に、出席日数が危なくなるし、精神のスリ減り様も半端ないから…。

じゃ、寮を出てしまうか？

…大倉にはそれが出来ない。

なぜかと言うと、転勤族の家族から離れてこの地にひとりで居残る事を選んだから。

それ故の寮生活で、

その為にこの学校を選んだのだから、

…大倉には帰る場所がないに等しい。

本当は、喉の辺りまで「俺んち来る？」って言葉がせり上がってたんやけど、遂には言い出せなかった…

だって、俺には亮がおるもん。

でも、大倉には誰がおるん？

…そしたら、やっぱり俺らだけやん？

どうしたらええんやろう…

俺は、テストをやり終えたら答案用紙を裏返して、校庭をぼんやり眺めてはその事ばかりを考えていた。

けど、時が過ぎるだけで

何も思いつかないまま期末テストは終了した。