ちいさなせかい (青黄緑橙) (ページ8)

今日:17 hit、昨日:7 hit、合計:263,179 hit

8 ページ8

◇

黄「パンツて何枚要るん？」

塾では夏期講習が中盤に入ったお盆過ぎに、湖畔のホテルを貸し切って合宿を行う

朝から晩まで寝る間も惜しんで勉強するんやけど、街中の暑さから逃げられるだけでも儲けもの

それに、ちょっとしたイベントかてあるから密かに楽しみにしてた

青「１週間やから、６枚？あ、最後、湖にも入るで？」

俺、パンツそんなにあるかな？てタンスを引っ掻き回してる亮は、「もう明日から出発やのに、全然用意してない！」言うて、キャリーバッグに荷物を詰め込んでる

俺？俺は、明日一緒に出掛けよう、てなって亮の家に泊まりに来ている

もちろん、その会話もタヌキの前でしたんやけどな

青「…俺って、なんかイヤなやつになってんな」

黄「なんて？」

青「…なんもない」

最近思うねん

こんな女々しいん良くないよな、て。

わかってんねん。けど…、亮、取られたないし。

青「亮？」

黄「んん？」

青「俺な、この合宿頑張るわ」

やっぱり、正々堂々戦う言うたら勉強しか無いやろ

…相手は塾一の秀才やけど

俺かて20番目迄には入ってるんやもん、なくはないやろ！？

青「頑張って、合宿最後のテストで１番になる！」

黄「章ちゃん…」

亮は両手に持っていた着替えを床に落とすと、俺が座ってるベッドまで来ておデコに手を当てる

黄「熱はないなぁ」

青「ないよ！失礼やなあ」

てか

青「やっぱり、それって無謀な事？」

黄「そんな事あらへん！章ちゃん、このクラスに入る時かて、めっちゃ頑張ったやん！」

そのままベッドに上がって来て、今度は両膝に手を置かれる

黄「俺、勝手に決めたのに、おんなじクラスに入ろうと思って章ちゃんが頑張ってくれたん、…めっちゃ嬉しかってん///」

青「亮…」

黄「今やから言うけどさ、俺、合格発表一人で聞きに行ったやん？あん時、泣いてしもたもん。やっぱり俺らはソウルメイトなんや、離れられへんねやて//」

俺、泣きながら章ちゃんにメールしたんやで？て、

亮、今も泣きそうやん(苦笑)

黄「せやから、無謀なんかやないよ。章ちゃんはやったら出来る子や！」

青「なんかそれ複雑やな。やってないみたいやない？」

黄「ちゃうよ！なんちゅーの？大器晩成？ダークホース？(汗)」

青「ふは、もう、なんやねんそれ～」

二人でひとしきり笑っていたら時計はとっくに12時を回っていて、大急ぎで亮の支度を手伝った