ちいさなせかい (青黄緑橙) (ページ46)

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橙「あの時は嬉しかったな～」

丸が、話を続ける

橙「それで、皆と出会って、どこの高校にしようかな～って考えながら勉強してんのが楽しくて楽しくて…本人すら病気の事、すっかり忘れててん」

ほら、僕って元来うっかりものやから…って笑って見せるんやけど、聞いてる方は、笑ってられない。だって、丸の表情が見る見る曇って行くから

黄「…それやったら、ホンマに治ったんやないの？」」

橙「ううん…。治ってないねん。去年の夏季合宿の直前。ほんま、ちょっとやねんけど体調崩して、久しぶりに検査を受けてみたら数値が思わしくなくて…再発せんように気をつけるんやでって釘さされてん。そしたらな、自分でもわからへんねやけど、次、再発したら死ぬんやろなって思って…どうせ死ぬんやったら『この世に悔いを残さんとこ』って気持ちでいっぱいになって、それで…決心して、前から好きやった亮ちんに告白してん」

黄「丸…」

橙「冗談や思てた二十歳がそこまできてんねんで？僕かて、青春とか味わいたいやん？好きな人に告白もしてみたいし、お付き合いとかも経験したい。…そんでな、章ちゃんおるんわかっててんけど押し切ってしもてん。しかも、友情かて捨てられへんって、グループ交際を提案してみたりして…僕ってホンマに、贅沢で、自己中で、…みんなに申し訳なかったと思ってる」

音が出そうなくらいの勢いで、ペコっと頭を下げた丸からは、いくつかの雫が落ちた

橙「ホンマに、ホンマに、ゴメン！」

今日は暑いけど、きっとそれは汗やないと思う

橙「…亮ちんは、きっとなんかあるって気付いてたんやろ？」

黄「…そんな事、ないよ」

……俺にはわかる

亮、気付いてたんや

だから

「いつか、章ちゃんにもわかってもらえる日が来る」

って言うてたんや