ちいさなせかい (青黄緑橙) (ページ27)

今日:22 hit、昨日:7 hit、合計:263,184 hit

27 ページ27

緑「後ろ歩いてたら様子がわからへん」

引き寄せられた時に繋がれた手はそのままに、前後の立ち位置だけを入れ替えて、また歩き出す

緑「あ、いや、ほら、横に並んだら邪魔になるし、手ぇ繋いでなはぐれるやん？」

頭のてっぺんから大倉の声が降ってきて、こしょばい

青「ふふふ、」

緑「///」

大倉の方が背が高いから眺めがいいのか、繋がれた手が操縦桿みたいになって、歩きやすい方向に連れて行ってくれる

時たま、人とぶつかりそうになったら肩を掴まれて止まり、道が空いたら背中を押されて前に行く

なんか、手押し車にでもなった気分

青「ふふふ。あ、見て、大倉、亀釣りやって！」

緑「ん？」

はっ…

しまった。すっかり気を緩めてた

笑われるかな…

呆れるかな…

緑「亀？何それ？ちょっと見てみたい」

青「へ？」

緑「寄り道してもええ？」

青「もちろん！」

さっと、人の流れからはずれると、水槽の角に二人してしゃがみこむ

緑「わー、ほんまに亀釣るんや」

青「亀釣り、知らんかった？」

緑「うん、初めて見た」

青「俺、昔、釣った亀、飼ってたんやで？意外と長生きして楽しかったな～」

緑「そうなんや……」

水槽の中で、ちっこい亀が時たま動くと可愛らしくって目が離せんくなってきた

緑「やす、あんな…」

青「は、はい？あ、…ごめん、見とれてた。何？」

緑「ええよ、見ながらで。…あのさ、屋台とか好き？」

青「へ？あ、こーいうお店の事？」

緑「うん」

困ったな

正直に言うべきか

カッコつけるべきなんか

思案にくれていると、

緑「あんな…その、」

って、大倉が水槽を眺めたまま話し出した