wonderful×3 (vol.9) (ページ39)

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紫side

紫「最後に襟を返して、おしまい」

橙「はぁ、やっと出来た…」

自分でアイロンあてたシャツに、顔を埋める丸子

紫「コラっ、せっかく30分もかけてあてたのに、シワになるやないか！！」

橙「…おかん、うちアイロンとか無理やわ。こんなん毎日ようせん(涙)」

紫「何を情けないこと言うとるんや。これからはアンタしかおらんのやで？他に誰もやってくれへんのやで？それとも何かい、あのダンナは毎日の洗濯をクリーニングに持って行けるような高給取りなんか？」

橙「もー！すばるくんの悪口禁止ー！！」

何が、悪口禁止や

高給取りどころか先月まで大学生やったくせに、人んちの大事な娘に子供までこしらえよって(怒)

まぁ、諸々の失敗があった(らしい)とは言え、お互い同意の上やから、あっちばっかり責める気は無いけど

て…、あかんあかん。

隆を産ませるって決めた時にこの手の愚痴は封印する事にしたんやった

それにしたかてな…

まだ高校生や言うて、色んな事が出来たやろうに、家に入って小さい子供とダンナの面倒見ていかなあかんなんて…、いくらこの子が望んだこととはいえ不憫すぎる

紫「………(涙)///」

橙「わ！おかん、ごめん。そんなクチャクチャにしたくらいで泣かんでよ！」

アホか。そんなんで泣くかいな…///

紫「ほら、貸してみ。おかんがもう一回アイロンするから、よう見とくんやで？」

橙「うん♡」

丸子から受け取ったシャツを広げて、アイロンをあてる

紫「まずは、襟な。軽く手を添えて、アイロンはまっすぐ」

橙「うん」

紫「細かい所を先にあてて、後は裏からな」

橙「うん」

紫「干す時にちゃんと叩いてシワ伸ばしといたら楽やからな」

橙「うん」

紫「小さい子おるし、アイロンは気をつけなあかんで？」

橙「うん」

紫「……仕事にかまけて疎かにせんで、もっと、早くから色んな事教えたったら良かったな」

橙「？？」

紫「あかん。シャツが濡れてまうわ」

アイロン置いて、グイッと涙を拭いたら「おかん泣いてるん？」って…

ここまで来たら誤魔化せん

紫「ごめんな、丸子。高校生になったら勉強も落ち着くやろし色々教えたろ思ってたんやで？」

並んで料理したり、天気のいい日に家中掃除したり…

紫「なんも教えてやれんままで、…ホンマ堪忍やで」

橙「おかん…、、、」