18 ページ18
「えっと、…中学生、かな？」
『………、、、』
「ごめん、大丈夫。どこの中学？なんてヤボなことは聞かないから」
『…中学生、です』
「そっか。…まぁ、中学の時って色々あるよね。けど、どうして、そんな大それた事考えてたの？」
『修学旅行がイヤだから』
「へ？」
『修学旅行に行きたくないの…』
「それで？学校を爆発させちゃうの？！なんで？」
『だって、…辛いことばっかりなんだもん』
「…例えば？」
『グループ分けをしても、バスの座席を決めても、みんなから邪魔にされるし…』
「え、それは酷い。先生には？言った？」
『そんなの一々言わない。…それに、最終的には、グループにも入れてもらえたし、バスの座席も決まったから』
「なら、良かったやん？」
『…ちっとも良くない(涙)』
収拾がつかないからって最後にはお情けで入れてくれたけど、本当は仲の良い友達だけで居たいはずだもん。
…そう言って女の子は涙を流す
『こんなんで修学旅行に行っても楽しいわけないでしょ？…ずっと息を潜めて、存在を消して、みんなの後を付いて行くしかないんだから』
「これを機にみんなと仲良くなれば？」
『そんなのムリに決まってる！！』
「…なるほどね。ならいっその事、修学旅行ごとなくなっちゃえ。ってか…」
『…そう。』
なんて短絡的な…
「けど、そんな事したら、君が一番辛くなるよ？」
『どうして？』
「君の幸せはみんなの犠牲の上に成り立つ事になるからね」
『そんな！じゃ、逆に私だけ犠牲になれば良いの？…私だけじゃない。嫌々私の事をグループに入れた子だって、一生犠牲者だって思うはず！』
「…だから、そこはさ、お互いにコミュニケーションを取って、仲良くなるって言う選択はないの？」
『だから、それはムリなの！…もう、いいよ！修学旅行が無くならないなら、私が消えて無くなるから！』
「…そこまで切羽詰まってるんだ」
『………』
ゆっくり頷いた女の子は強い意志を持った目で、まっすぐこっちを見ている。
「わかった。…じゃ、手伝ってあげるよ」
『え？………、、、』
考え込む女の子を見つめながら
早く、早く断って。
一瞬の気の迷いだとあどけなく笑って
と、必死に念を送る
なのに女の子は、『ありがとう。お願いします』と言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：青菜はやと
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年10月5日 22時
