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#21 ページ21

やって来たのは幹部二人と黒蜥蜴、樋口様などその他構成員。





その方達皆に見せ付けるようにボタンを掲げる。





「…お集まり頂けましたでしょうか?それでは、ショーの始まりです!」






カチッと軽いプラスチックの音が鳴ると、腹部に激痛が走る。


高熱によって煙が上がり、服の破片が焦げ臭い匂いをまき散らす。


その後に、ドン、と重く響く音が耳を貫いた。






「Aーーーーーーーーーーーッ!!!!」







芥川様の絶叫が倉庫で響く。
マフィアのざわめきと、誰かの舌打ちも聞こえた。




そしてそのまま、床に倒れ込む。
この光景は二回目だ。久しぶりだな。




「…っ、裏切り者を殺れ!情けはかけるな!」





構成員の皆さんが私に駆け出してくる。
でもね?皆を呼んだのは、芥川様を焦らせるためと、観客になってもらう為。





「……邪魔は、しないで下さいね?」





私と芥川様の周りをからたちの花で囲み檻を作る。
みんなの持っている拳銃からはからたちの茎が伸びている。





「さあて、どうします?先程の状態が完成してしまいました」





「…貴様!巫山戯た真似を!」






芥川様が私を殴る。
周りが固唾を飲んだのがわかった。



私はそれに構わず、花を椅子代わりにしてそこに腰掛けた。気付けば腹部から出血している。





「…お願い、聞いて下さるんでしょう?」

「聞かぬ」



「叶えて下さるんでしょう?」

「叶えぬ」



「芥川様、殺して下さるんでしょう?」

「殺さぬ!」



羅生門が後ろの檻に噛み付いた。
芥川様の顔は歪みきって、あの優しい顔ではなくなっていた。




「僕では満足出来ぬか!?貴様の死ぬ理由も、死ぬ場所ももう無い!何故解らぬ!!…頼む…!」






芥川様は目に涙を溜めていた。
…私はその後の行動に目を疑った。









「生きてくれ、A」









芥川様が私を抱き締めて、頭を撫でている。
私はまた嬉しくて、思わず彼の背中に手を伸ばしてしまったが、すぐに引っ込める。





「お願い…幸せじゃダメなの!…殺してって…言ってるじゃない…!助けてって……私を、早く救ってよ、……芥川ぁ……!」




嘆く度に腕の力が強くなっていく。
彼の腕は細くて折れてしまいそうで。



「僕が救ってやる…!死ぬ事に囚われるな!」



ああ、やめて。

また生きる事に希望を抱いてしまう。

#22→←#20 貴方に着いて行く



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山鶴月@草神茜羽(プロフ) - 完結おめでとうございます!前作から来たのですが、題名から内容から全部私の好きだなぁと思うものでした!これからも頑張って下さい! (2017年4月16日 20時) (レス) id: 4b4488fab6 (このIDを非表示/違反報告)
As.@暇潰生活(プロフ) - 猫になりたいさん» 好み…ですと!?お褒め頂きありがとうございます!私の事ですからまた懲りずに書きそうです(笑)応援ありがとうございました!! (2017年4月16日 20時) (レス) id: 720431c454 (このIDを非表示/違反報告)
猫になりたい(プロフ) - 完結おめでとうございます!文章がとても私の好みで……って何目線だ私。失礼しました。また作品を書くご予定がありましたら読みたいです!今までお疲れ様でした。 (2017年4月16日 20時) (レス) id: e57abe86e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - As.@暇潰生活さん» いえいえ、どういたしまして。 (2017年2月28日 18時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
As.@暇潰生活(プロフ) - 桜唄さん» 桜唄さん!!前作に続き、ありがとうございます!!^^* (2017年2月28日 18時) (レス) id: 720431c454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:As.@暇潰生活 | 作成日時:2017年2月26日 14時

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