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#3次々上がる候補、眩む理想 ページ3

「おや、Aくんじゃないか。どうだい初任務の方は?」





「はい、終わりました。」






私がそう言うと、森様は驚いた顔で私の目をじっと見た。

負けずに私もじっと見つめる。





「…君、殺しをする目をしてなかったと思ったんだけどね。……お疲れ様。」




森様はそのままニコッと微笑んで、机の珈琲を1口飲んだ。


私は音を立てないように静かに立ち上がり、首領の部屋を後にした。









「……まあ、初日に叶えられても虚しいだけですか…。」





あの人は構成員を自らで始末していた訳では無かったらしい。

お仲間の方がかなりの腕で、でも私が出向いた時には留守だった……。




私もあの人も運が悪かったのでしょう。…残念です…。





落ち込んでいると、前方から尾崎幹部が。

確か帰還したという報告が首領の部屋でされていたような…。




「おや、お主は新入りの…。どうじゃ?こちら側の気分は?」




妖艶に微笑んで、
試すようにコチラを伺っている。

…尾崎幹部、物凄くお強いと有名…、ならば!





「幸せです!なぜなら貴女の様なお強い方に出逢えるのですから!では、私をお殺し下さい!」


決まり文句の様になった言葉を吐く。

尾崎幹部は不思議そうな顔をした後、
蔑む目をして1歩身を引いた。




「……何故死を求むのじゃ。」




何かと思えば簡単な質問が。




「罪を犯したからです。皆が私の死を望み、そして私自らも死を望む。ならば何も迷うことはないでしょう?」




1歩置かれた距離の分だけ、私も尾崎幹部に近づく。
反射的になのか、幹部は小刀をチラリと見せてきた。




やはりこの方も理想的…。



「さあ、貴女のその刃で私を…、お殺し下さい」




しかし尾崎幹部は小刀をしまい、私からかなり離れた。




「お主の様な、生きる事すら望めぬ者…。(わっち)は大嫌いじゃ。」




そしてスタスタと、早足に行ってしまった。

よく考えてみれば尾崎幹部の美しい異能や刀に殺されても、華々しいばかりで理想的ではない…。



華々しさは誰も望まない。





私はもっと蔑まれる、無残で虚無的な死を望んでいるんだ。

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山鶴月@草神茜羽(プロフ) - 完結おめでとうございます!前作から来たのですが、題名から内容から全部私の好きだなぁと思うものでした!これからも頑張って下さい! (2017年4月16日 20時) (レス) id: 4b4488fab6 (このIDを非表示/違反報告)
As.@暇潰生活(プロフ) - 猫になりたいさん» 好み…ですと!?お褒め頂きありがとうございます!私の事ですからまた懲りずに書きそうです(笑)応援ありがとうございました!! (2017年4月16日 20時) (レス) id: 720431c454 (このIDを非表示/違反報告)
猫になりたい(プロフ) - 完結おめでとうございます!文章がとても私の好みで……って何目線だ私。失礼しました。また作品を書くご予定がありましたら読みたいです!今までお疲れ様でした。 (2017年4月16日 20時) (レス) id: e57abe86e9 (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - As.@暇潰生活さん» いえいえ、どういたしまして。 (2017年2月28日 18時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
As.@暇潰生活(プロフ) - 桜唄さん» 桜唄さん!!前作に続き、ありがとうございます!!^^* (2017年2月28日 18時) (レス) id: 720431c454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:As.@暇潰生活 | 作成日時:2017年2月26日 14時

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