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勢いよく車に乗り込むが、席は何故か後部座席だった。
「悪ぃな気付けなくて…大丈夫か？」
そう言いながらキヨは私の手を握っている。
でも手は暖まらず、代わりにだんだん顔が熱くなるのを感じた。
「……キヨ。もう、大丈夫だから」
「いやだってまだ冷て_______」
キヨが顔を上げる。私は思わず横を向いた。横目でチラリと見ると、彼はニヤリと微笑んだ。
「顔、真っ赤じゃねぇかよ」
顔を覆ってしまいたくて、手を振り払おうとするが、キヨの力が強く振り解けない。
それどころか、ギュッとさらに強く握ってくるので、顔の熱がさらに高くなる。
「なんで、やめないのかな？」
「だって、やっと意識してくれたんだもん」
″意識″という言葉で、彼が男性である事を思い出した。
一緒に星を見て、手を握られて。こんなのまるで_______。
.
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「″恋人″みたい、だろ？」
私の思った言葉を代弁するかのように、彼が呟いた。
思わず心臓がドクンと高鳴った。
それと同時に、握りつぶされるかの様な苦しさに襲われた。
「キヨ……」
「今度言うって言ったけどよ、今言うわ」
私は彼の口から、あの言葉が出るのを待っていた。
.
.
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「好きだ、A」
握る手が震えている。
私の鼓動が加速していく。
「お前がずっとピアス持っててくれた事、それからも一緒にいてくれた事、まじで嬉しかった」
.
「でも今度は、俺が守る番だからな」
.
「A。俺に守らせてくれ」
.
返事は決まっていた。
決める時間など存在しなかった。
.
「……はい」
私は人生の中で一番情けない声を出した。
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作者名：As.@暇潰生活 | 作成日時：2018年1月13日 22時
