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#44 ページ45

変わってしまったのは、中原中也とキスした時から。




あの青い瞳の色を見つめた時から。








「私が今異能力を使ったら、アンタは死ぬと思う。…分かっちゃったから。自分の気持ちに気付いたから。」




中原中也は目を見開いたまま固まっていた。

そして、手を振り払ったかと思うと









ギュッと、抱きしめられていた。
耳元で、中原中也の声が響く。






「手前が俺を嫌おうと、俺の考えは変わらねェよ」






背中を優しく撫でてくれる。

優しいなぁ。中原中也。大嫌いなんて言われてるのに…、寒気がするくらいだよ。


だから、




「フラれても、好きにさせる。そういうやり方、私は嫌いなんだけどなー。」





撫でていた手が止まる。

中原中也の手に、凄い力が入ったのが分かった。








正直分かっている。

あの時の少年が嫌いでも、中原中也は大好きな事。

マフィアとか、犯罪組織なのに本当はいい奴って事。







あの時みたいに、綺麗な瞳を汚したくないって事も。









ハッキリしないといけない。




『好きな様に』、自分の想いを伝えなきゃいけない。





折角、好きな人が出来たけど…いや、好きな人だからこそ。









気づけば一筋だけ、涙が出ていた。
声が出にくくて、本当に消えそうな声だった。






「私、中也を殺したくない」









中原中也が私から離れた。

立ち上がって、ゆっくりと離れていく。








これでいいんだ。

異能力がいつ発動してもおかしくない。
『大嫌い』で『大好き』な中原中也。









そのまま、もう2度と会うことがないように……









と、突然轟音が響いた。
ガレキの崩れる、いや砕ける音だ。









「手前何言ってんだよ。俺を殺したくねェ?」







中原中也の足元は、その足場だけを残して消え去っていた。

ヒビ割れが私の所まで届いている。








「誰が手前みてェなクソ女に殺されるかってンだよ。なァ?」







その顔は、あの時の少年を忘れるくらい、
いや、それ以上に悪い顔をしていた。








「俺は死なねェよ。殺されもしねェ。例え手前だとしても、その異能力だとしても、」









また暖かい感触がする。

太宰と違うのは、やはりこのままでいたいと思うところだろう。


涙が溢れていく。









「手前を残して死ぬわけねェだろ」

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山鶴月@草神茜羽(プロフ) - As.@暇潰生活さん» 是非是非(^ω^) (2017年2月26日 15時) (レス) id: 4b4488fab6 (このIDを非表示/違反報告)
As.@暇潰生活(プロフ) - 山鶴月@草神茜羽さん» コメントして下さる方は神様ですから…!!私も地球の中心までご一緒させて下さい(笑) (2017年2月26日 15時) (レス) id: 720431c454 (このIDを非表示/違反報告)
山鶴月@草神茜羽(プロフ) - As.@暇潰生活さん» えぇ?!返信来ると思ってなくて.....ありがとう御座います!私は今の時点で埋まりすぎて地球の中心に達しそうです〇| ̄|_ (2017年2月26日 15時) (レス) id: 4b4488fab6 (このIDを非表示/違反報告)
As.@暇潰生活(プロフ) - 山鶴月@草神茜羽さん» 御期待に添えて嬉しい限りです!!いろいろと迷惑をかける事もありました…。応援して頂けて、コンクリに埋まる勢いで感激しております!!ご完読ありがとうございました!! (2017年2月26日 14時) (レス) id: 720431c454 (このIDを非表示/違反報告)
山鶴月@草神茜羽(プロフ) - うわぁぁぁぁぁあ!思ったよりも(良い意味で)斜め上を行く結末で.......うわぁぁぁぁぁあ!完結おめでとう御座います!これからも応援してます! (2017年2月26日 14時) (レス) id: 4b4488fab6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:As.@暇潰生活 | 作成日時:2016年10月16日 23時

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