（続）指に触れる愛が、３

・ ページ8

『あ、そうそう、これ遅くなっちゃったけどお祝いに』
「え〜！ありがとう！」
『子供用品にしようかと思ったんだけど、他にも貰ってるだろうし何がいいか分からなかったから』
「開けていい？」
『もちろん！』
「…あっ！これ！」



欲しかったやつ〜〜！と目をキラキラさせて喜んでくれるのが嬉しい。勇人にも相談して、出産祝いは景子の身体を労われるものにしたのだ。



「さすが親友、私のこと分かりすぎてる」
『喜んでいただけて良かったです』
「ゔぅ〜…ふぇっ」
「あっぐずり出しちゃった」
『あら〜おねむかな？お腹すいたのかな？』
「どっちかな〜オムツかも」



お母さんモードに戻った景子を眺めながら、自分の未来を想像しつつ。結局オムツだったみたいで、すっきり機嫌の治った子どもを抱きかかえてすぐに景子は戻ってきた。



「最近はどうなの？」
『あっ、そう、あのね、報告したい事があって』



タイミングを逃してたけど、ここで報告しよう。



「え？なに〜？」
『あのね、妊娠したんだぁ』
「！？！？！？！」



目をまん丸に開いて驚きを表現する景子。



「うそ！ほんとに！？」
『うふふ、今５ヶ月』
「(号泣)」
『うそ待って待って(笑)号泣じゃん(笑)』



私、景子のこと泣かせてばっかりだな、とふと今までを思い出して笑ってしまう。


結婚を知らせた時だって、同じように景子は泣いていた。そんなふうに私のことで喜んでくれる親友がいることは幸せなことだ。



「よかった、よかったねえ」
『うん、ふふ』



子どものことで悩んでいたことも知っている景子だからこそ、こうして涙を流して喜んでくれるのかな、とも思う。



「じゃあうちの子の一個下だ」
『あっそうだねえ』
「一緒に公園で遊ばせたりできるかなっ」
『！した〜い！』



出会った頃は学生だった。そこから独身時代を経て、今こうしてお互いに家庭を持って、母になって。


人生で、同じような悩みを共有してきた。これからも変わらずに、また同じように悩んで、相談して、歳をとっていくのだろう。



『先輩、いろいろ教えてください』
「ふっふっ、もちろんですとも！」
『あははっ』



勇人が私の人生のパートナーだけど、景子もある意味人生のパートナーだなあ。

あたたかい手→←もう一人のパートナー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す