（続）指に触れる愛が、３

偉大なその人 ページ1

「あっ、もしもし？体調どう？大丈夫？」
〈うーーん…なんか、昨日までは食べてないと気持ち悪かったんだけど、今日なんか、食べると気持ち悪くて…〉
「えーっ、マジか。キツイなそれ」



自主トレ期間に入った俺は、毎日Aに電話を繋げていた。丁度正月あたりから悪阻の症状が出始めていて…Aが辛い時期にそばに居れないのが本当に申し訳ない。



〈なんか全然動けないし……家事はお母さんが全部やってくれてる〉
「そっか…帰ったらお礼言わなアカンな、ほんまに」
〈うん…ほんと…母親って偉大やなって思った…〉



お義母さんが泊まり込みでうちに来てくれているのが本当にありがたい。Aも実の母親相手になら思う存分我が儘を言えるし、Aにとっては楽だろう。



〈勇人は大丈夫…？体調崩してない…？〉
「俺はもう全然元気やから心配しないで」
〈ふふ…だって去年さ、勇人インフル…ふふ〉
「笑うな(笑)」



Aの笑い声が聞けてちょっと安心。



「仕事は？撮影あるんやろ？明後日…大丈夫なん？」
〈や〜…大丈夫かな…まあ分かる前に決まってたスケジュールだから、〉
「そっか」
〈がんばる…なんとか、〉
「ん、無理だけはしないで」
〈うん、うん〉



電話を切ると、指は自然にインターネットの検索欄へ動く。


"妊婦 悪阻 食べれるもの"


妊娠が分かってからは、毎日こうしてインターネットで色々と検索しているから検索履歴は妊娠関連のことばかり。


はあ…なんで変わってあげられへんのやろ。Aが体調を崩したのなんて、今まで2、3回程度しか見たことがないから正直、調子が悪いAに慣れなくて。


早く悪阻も治ればええんやけどなあ…

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