指に触れる愛が、３

４６. 幸せで胸焼けしそうだ ページ32

「アカン…手震える…」
『無心で、無心で書いて』
「無心で……無心で……ムリや！！休憩！！」
『ええ〜〜…(笑)』



みなさん、こんにちは。柚木です。
この2人が今、何をしてるのかといいますと…



『サイン書くくらいの気持ちで、サササッと！』
「ムリやムリ、……婚姻届やぞ！」



婚姻届を書いております……！！



「こんなん緊張しないやつの方がおかしいねん」
『分かったから…』
「ドラフトのときより緊張するわ」
『はいはい…』
「聞いとるん！？」
『聞いてるよ…』



かれこれ15分くらい紙と向き合う坂本さんに、最初は付き合ってたAさんだけどもう呆れて放置しはじめている。



『もー。はい、予備あるし失敗してもええから、とりあえず書いて、ね？』
「はい…」



ようやく書き始める坂本さん。

あ、なぜ私がこの場にいるかというと、もしかしたらいつか何かで使えるかもしれないから、と動画を撮ってこいと上司に言われたからである。



「さかもとはやと…っと」
『完璧や〜ん』
「(ドヤ)」
『こんなちゃんと書けるなら最初のくだりいらなかったよね？？』
「くだり言うな！！(笑)」



今日も仲良しそうでなにより(笑)



柚「じゃあ写真撮るので2人で並んで紙持ってください〜」
『壁バックでええ？』
柚「はい！」
「髪の毛崩れとらん？」
『大丈夫っ』
柚「はーい、じゃあいきます、ハイチーズ」
『撮れた？』
柚「確認します〜」



……ハァ、なんなんだこの画面越しからでも溢れ出る幸せオーラ……



「撮れとる？もう一枚？」
柚「いやあ、めっちゃ幸せそうな写真撮れましたよ」
「…そりゃ幸せなんやから当たり前やろ(笑)」
『ふは、ね〜？(笑)』



これが結婚前間近のカップルにしか出せない甘さなのか…そうなのか…

だってほら、見てよ。あのAさんの世界一可愛い笑顔とそれを見た坂本さんの蕩けきった顔を…幸せが溢れ過ぎてて胸焼けしそう…



「あとは証人欄だけやな〜」
柚「あ、結局誰にお願いするんですか？」
『阿部さんと景子〜』
柚「うわぉ…なんて豪華な保証人…」

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