指に触れる愛が、３

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「ただいま〜」
『おかえり、お疲れ様』



自宅に帰ると、Aが笑顔で出迎えてくれる。



「っはぁ〜…」
『ふふ、』
「A〜〜！！！」
『あははっ、ちょ、苦しい(笑)』



ようやく一軍に戻って、勝利で終えられて。当たり前のように元気に野球ができることがなんて幸せなんだろうと感じた。

そうやって感じられるのは、リハビリに付き合ってくれたトレーナー、穴を埋めてくれたチームメイトたち、信じて待ってくれたファンの人達……そして、背中を押してくれたAの、みんなのおかげで。



「ありがとうな」
『ん？なあに、いきなり(笑)』



とぼけたように笑うその姿が愛しい。



「歌、聴いた」
『あ…』
「歌詞、俺に向けて歌ってくれたって勝手に思って、励みにしてた」



ソロで、三浦くんとコラボして歌った曲。公開されてからずっと聴いていて。なぜだか聴いていて背中を押されるような、そんな気分になって不思議に思っていた。そんな時、後輩からファンの間ではAが俺に向けて歌ってるのではって話題になってる、ということを教えてもらって、気になって歌詞を調べてみたら、もう、俺に向けてなんじゃないかと自惚れてしまうような歌詞で。



『…勇人に向けて、歌ったんだよ』
「ホンマに？」
『少しでも背中、押せればいいなって思って、選んだの。……気づかれると、ちょっと恥ずかしいね、なんか(笑)』



そう言って照れ笑いするA。
少しどころか、相当。背中を押してもらったよ。



『それにしても歌詞、分かったん？全部英語やのに(笑)』
「分かるわけないやろ！歌詞 和訳 で調べたわ！(笑)」
『あははっ(笑)』



相当心配をかけただろう。家ではなにも言わずに、暖かく見守り続けてくれて、歌で背中を押してくれたAに感謝しかない。

リビングに戻る後ろ姿を眺めて、やっぱり俺にはAしかいない、なんて思ったりするのだった。

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