指に触れる愛が、３

４０. 背中を押したい人がいる ページ16

『え…私…？』
三「うん、そう。Aとどうしてもやりたいと思って」



と、ありがたすぎるお言葉をくれるのは事務所の大先輩である、三浦大知さん。

直接、大知くんから一緒に音楽やらない？とお誘いを受けて、今はその話を聞いている最中で。



三「別にそんなに堅苦しい企画じゃなくてさ、趣味程度でやろうと思ってて…YouTubeとか、ネットでアップしていくのが良いかなとは今考えてるんだけど」



素敵なお誘いだとは思うけれど、私でいいの？っていうのが正直なところ。だってあの三浦大知だよ？



『それを…私と？』
三「うん」
『……ほんとに私ですか？』
三「そうだってば！(笑)」



選んでもらえたことは、素直に嬉しい。けれど私のどこを気に入ってくれてるのかがさっぱり分からなくて。

なんで私…？と呟けば、その疑問を拾った大知くんがAはさ、と話しだす。



三「SNSとか、なにもやってないでしょ？」
『はい』
三「だから自分の気持ちを外に発信することって普段ないでしょ。俺、そういう人の方が歌で言葉を届けられるって思ってて。ほら、普段何も言わない分、この人はこんなことを伝えたいんじゃないかって聴き手が想像しやすくなると思わない？」
『(頷く)』



確かになあ。今までSNSをやってないことで、大切な人たちに伝えられない、伝える機会のない想いも沢山あった。



三「どう？お試しでもいいからさ、やってみない？」



音楽を通して伝えられたら、ひとりのアーティストとしてそれほど嬉しいことはない。

やって、みようかな。



三「それに俺ね、Aがソロデビューしてないの、本当に勿体無いと思ってて。歌もダンスも、レベルはうちの事務所で1番でしょ、だって。宝の持ち腐れだよ、ほんと」
『…(苦笑)』



それはどう反応したらいいか分からないよ…(笑)

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