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柚ちゃんから連絡をもらって、Aの事務所へと足を運んだ。至る所にAのポスターが貼ってあって、事務所の看板タレントであるのだと改めて実感する。
白「キャンプ前なのに呼びたてちゃって申し訳ない」
「いや、全然。僕もお話ししたいことがあったんで」
目の前に座る白鳥さんがゴホンとひとつ咳払いをして、話を切り出す。
白「坂本くん、Aと結婚したいってまだ思ってくれてる?」
「それは、勿論…出来るならすぐにでも」
白「そっかそっか…あのね、まだ確定ではないんだけど…今年の末にはいけるかも、結婚」
「え…!!」
白「上と今掛け合ってる最中だけど、あとは時期だけだから」
「…ホンマに、良いんですか」
思っていたよりも早い朗報に、叫びそうな気持ちを押しとどめて、そう確認する。
白「うん。まあ、Aが結婚しないと他のメンバーも続かないし、あと約1年待つことにはなるけど…」
「全然、…5年くらいは、待つ覚悟してたんで、1年なんて余裕です」
白「ははっ流石だね(笑)」
「ありがとうございます、…本当に」
白「結婚したらどうする、とか2人で話し合ったりする?」
「いや〜…全然、ですね。まだまだ先のことだと思ってたんで…」
白「まあ…そうか(苦笑)結婚後の仕事のこととかね、決めなくちゃいけないから…」
「あー…そうっすよね…」
白「坂本くんはどう考えてる?」
「僕は特に、家庭に入って欲しいだとかは思ってないです。Aがやりたいようにやって欲しいってくらいしか希望はないです」
白「野球選手の妻になる訳だけど、…それでいいの?」
「?はい。僕別に、お世話して欲しくて結婚したいわけじゃないんで…」
既婚者の人たちを見ていても、専業主婦になる割合が高い世界だとは思う。家に帰れば、全ての家事が終わってて、野球だけに集中すればいい生活。だけど俺自身、そんなにそういう人たちへの憧れはなくて。だってそんなのまるで家政婦みたいじゃないか。それなら結婚しないで家政婦を雇えばいい話で。
もちろん、家事が大好きな、家事が趣味の奥さんなら別にそれも良いだろう。だけどAは絶対的にそういうタイプじゃない。料理はわりかし好きみたいだけど、掃除や片付けは苦手だし、洗濯物は溜めるタイプだし(笑)
Aも多分、俺のお世話をするために結婚するとは思っていないと思う。というかそんな結婚生活つまんない、って言いそう(笑)
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作者名:ハナ | 作成日時:2018年9月19日 23時