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「今すぐに、とは言わへん。Aが今ならって思ったタイミングでええ。いつか、」
『……』
「いつか、家族に、なってほしい」
涙ばかりが溢れて、言葉が出ない。
『うぅ…っひっく、』
「泣かんでや(笑)」
『だって、ごめん、わたしっ…』
「しばらく、結婚できへんのやろ」
柚ちゃんに全部聞いた。と優しく涙を拭いながら笑う勇人。
「お前が、結婚できる時期が来るまでに、俺が離れてくかもしれへんって不安がってるのも、聞いた」
柚ちゃんにだけ、零していた本音。
白鳥さんと話したあの日からずっと、いつ一緒になれるかわからない自分と付き合う勇人は、いつか愛想を尽かして、他の人のもとへ行ってしまうんじゃないかって、どうしても不安で、1人で抱えておくなんて出来なくて、柚ちゃんならいいかと、つい零してしまった。
「そんなわけないのに、アホやなあ」
『ひっく、』
「お前以上にええ女どこにおんねん」
『そんなん、そこらじゅうにおるよ…っ』
「急に捻くれんな(笑)おらんよ、どこ探したって」
指輪をそっと右手の薬指にはめてくれる。
…ぴったり…
「この指輪は、その時が来るまでの、男避け」
『…ほんまにええの？私で、ええの…？』
「お前しかおらん」
光にかざして、指輪を眺める。
可愛い、私の好みドンピシャなデザイン。
『…勇人、』
「ん？」
『すき、大好き』
「…俺も、」
いつのまにか立っていた勇人に腕を引っ張られ抱きつく形になる。そのまま肩に顔を埋め、勇人の香りを吸い込む。
「A、」
『ん、…』
優しく落とされたキスに、幸せを感じて、また涙が溢れる。
「愛してんで」
『わたしも』
愛してる、続いたその言葉は勇人の口に飲み込まれてしまう。
苦しくなるくらい求められて、力の抜ける身体を支えようと自然と勇人の首に腕を回すと、待ってました、というように持ち上げられてそのまま優しくベッドへ落とされる。
私を見下ろす位置にいる勇人の頬に手を伸ばすと、先程はめられたばかりのリングがキラキラと主張する。
なんて幸せな光景なんだろう。
『ふふ、幸せ…』
そのままの体制で指輪を眺め笑う私を見て勇人は呆れたように笑い、ネクタイを緩める。
「ほんま、…愛しくてしゃあないわ」
そう言って落とされたキス。
夜はまだ、始まったばかりーーー。
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作者名：ハナ
| 作成日時：2018年9月19日 23時
