指に触れる愛が、２ (ページ6)

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「Aは、結婚したい？」
『……したくない、って言ったら嘘になる、けど』
「だよな…」
『でも、まだ時期じゃないってことなんやと思う。まだまだ仕事頑張らないと、ね？』
「ごめんな、」
『白鳥さんが謝ることじゃないでしょ？ええの。やりたいお仕事いっぱいあるもん。だから頑張って取ってきて！(笑)』
「それは柚木に頼んで(笑)」
『いーじゃん！久々に白鳥さん取ってきてよ～(笑)』

気を遣って雰囲気を明るくしてくれたA。
ほんと、敵わないなあ。

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『北海道めっちゃ寒い～』
「まあ北海道やからしゃあないな(笑)」

映画の撮影で北海道に居るAとキャンプで宮崎に居る俺。今年は一段と遠いな。

「体調どう？」
『まだ本調子ではないけど、大丈夫だよ』
「無理せんでな。ちゃんと寝るんやで？」
『柚ちゃんに監視されてるからそこは大丈夫(笑)』

精神的なストレスが体調を崩した原因らしい、と柚ちゃんが連絡をくれていた。グループのことで頭を悩ませ、寒さの厳しい北海道での撮影。そりゃあ体調も崩すだろうと納得する。

『あっそうそう、Mステ出演決まったんだー！』
「えっホンマに？おめでとう！いつ？」
『2月の…10日？多分それくらい』
「曖昧やな(笑)」

『7人で、出るから』
「…そっか」
『…出来たら、観てて欲しい』
「観るよ、絶対」

どこか覚悟を決めたような声に、安心する。
SNSのアカウントを持たないAはグループで唯一、今回の件についてノーコメントを貫いていた。メンバー連盟で発表したコメントのみで、私に言えることはこれが全て、と。その対応に、少し冷たすぎるんじゃないかという声がAに届いていた。

本当は、ずっと悩んでいた。コメントを出さないことに、迷いだってあった。だけど、その対応こそがAから彼女へ向けた愛なのだ。

結婚、妊娠、卒業。

おめでたい、新たな道への門出に、私がなにかを言うときっとまた色々な憶測が飛び交ってしまうから、と。安定期に入っていないのに、負担をかけちゃいけないから、と。

『はやく会いたい』
「俺も」

会って、存分に甘やかしてやりたい。
色んな事を我慢してしまう彼女の、唯一気が抜けて、ワガママが言える場所でありたい。

Aともっと近い存在になれれば、もっと支えてやれるのだろうか。

心のどこかでは、Aと結婚するんだろうと、ぼんやりと思ってはいたけれど、明確に意識しだしたのはこの時だった。