指に触れる愛が、２

３０. とある電気屋家電担当の１日 ページ37

ここ、ヤ◯ダ電機に勤めて、かれこれ5年。
今日ほど緊張した日は、後にも先にもないだろう。

とある日、お店の入り口から姿を現したのは1組のやけにスタイルの良いカップル。都心にあるこの店には芸能人がよく来るから、今回もそうだろう、と思ってはいたんだ。

だけど、あの坂本Aカップルが来るなんて、夢にも思わないだろ…！野球観戦が趣味で、推しのチームは巨人軍。そして好きな女優はAAというこの俺が…緊張しないわけがない…！



「すいませーん、スピーカー探してるんですけど」
店「は、はい！主に何用でお使いになられますか？」
「映画観賞用で…今使ってるのが壊れてきてて」
店「今お使いのメーカーはなんですか？」



落ち着いて対応できてるだろ、俺。
大丈夫、スピーカーなんて得意分野じゃないか。



「Pioneerの…」
店「メーカーにこだわりとかってあります？」
「ないっす」
『…音響だったらやっぱPioneerがええのかな？』
「まあ有名やしな。店員さん、オススメのメーカーとかあります？」



おっと？生のAAの声が聞こえたからって動揺するなよ、俺。冷静に、冷静に。



店「そうですねー、やっぱりPioneerは良いと思います。あと個人的にオススメなのはSONYですかね。やっぱり音にはSONYは強いです」
「へ〜…これとかは？どういう特徴なんすか？」
店「これはワイヤレスになっていて、スピーカーを5つ部屋の中に並べていただくタイプなんですけど…」
「あ〜後ろとかにね」
店「そうです」
「こういうのは？」
『…ルンバ当たらない？』
「…ルンバは頭ええから当たらんのとちゃうか？(笑)」



か、可愛い…！！！AAの天然生で見れた…！！



『…そっか(笑)』
「これは微妙？」
『うん、あの、スピーカー1つだけでも同じような効果のないんですか？』
店「あ、そうなるとこのバータイプというのがありまして…」
「へえ、スピーカー1つで同じようなもんならこっちの方がええな」

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