26.後ろ姿にすら愛しさが募る ページ16
「A〜…頭痛いんやけど…なんか薬ない?」
『え、大丈夫?熱は?』
「分からん…」
珍しく2人揃ってオフの日。先に起きて溜めていた洗濯物を回したりと動いていると、勇人が大きな身体を縮こめて起きてきた。
なんか鼻声だし、目が虚ろだし、頭痛いって言ってるし……これは本格的に具合悪そうだなあ…
ソファに座ってもらうために誘導しようと腕を掴むとその体温の高さにびっくりする。
『ねえ…身体熱いよ、これ絶対熱ある』
「ええ…」
『はい、体温計』
「熱…これ数字見たら余計怠くなるやつやろ…」
『そうかもね(笑)』
「…ん、鳴った…これはアカン」
『どれどれ…あー…これはアカン(笑)』
38.2℃という数字を表示した体温計をテーブルの上に置き、すでにソファに埋もれている勇人に向き合う。あー…ほんとに辛そう。
『病院行こ』
「えーよ…市販の薬でなんとかなる…」
『でも明日もナイターやろ?ちゃんと薬もらっといたほうがええって』
「んー…嫌やあ」
『ねえ〜…前風邪ひいたときも市販の薬でええとか言って風邪長引いたんやから今回は病院いこ?ね?』
「(白目)」
『白目むくな(笑)』
ふざける元気はあるらしい。安心。
出かける準備をしようと動きだす。勇人ものそのそと着替え出した。
「あれ…化粧は?」
『しない〜病院行くだけやし。時間もったいないもん。…あれ、勇人〜保険証財布に入れてるよね?』
「おーう…」
『財布あればええもんな…あとは〜…タクシーか』
荷物をまとめながらバタバタしていると勇人が辛そうにソファに倒れているのが見える。今月ハードだもんね、そりゃ疲れるよ。
準備が終わってタクシーをあとは待つのみ。10分くらいで来るって。
『辛いね…』
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作者名:ハナ | 作成日時:2018年9月19日 23時