指に触れる愛が、

１５.この手を握れる幸せを ページ42

試合を終えてロッカーに戻るとAからの着信が残っていた。この時間に連絡してくることは珍しいな、とすぐに掛け直す。



「もしもし？どした？」
『あの、あのね、犯人捕まったって』
「！ホンマに？！」
『うん、昼に連絡あって…』
「よかった…よかったなあ」



心底安心して、思わずしゃがみ込む。この1ヶ月間、いつまた現れるかと不安でしょうがなかった。Aもトラウマとして残ってしまったらしく、内側から玄関を開けられなかったり、ドアのガチャガチャという音に反応してしまったり、夜飛び起きたりと、心と身体に負担がかかっていた。



「警察行くん？」
『あ、いまもう警察で、色々手続きしてる』
「ん、そっか。これから向かえば間に合う？迎えいくで」
『多分、あと一時間はかかりそう』
「分かった、迎えいくわ」



電話切り、急いで支度を始める。
デーゲームの日で良かった…ナイターだったら電話気づかないままだった。


NPBとの企画も終わって、もう外で会うことに制限はないから、今日はどこかに連れ出してあげよう。
久々に事件のことを思い出して、疲れるだろうけど気分を変えて家に帰った方がよく眠れるだろうから。

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