７─区別と把握 ページ8
「長義さん、そろそろ聞いてもよろしいですか？
長義さんが言っていた、“写し”とか何とか」
「“写し”や“偽物”だね
俺の個人的な考えだから、誤解はするんじゃないぞ？」
「了解です！」
俺は全て話した
写しである山姥切国広のこと
それを打ったのがかの有名な堀川国広であったこと
自分が醜いと思って布を被っているアイツのこと
俺が写しを“偽物”と呼んでいる理由も……
全部包み隠さず話した
「……その国広さんに会ってみたいですね
長義さんの写しって事は、凄い美しいんでしょうね」
「どうだかな、彼奴は布を被ってまともに顔も見れない」
「でも、どうして分かるんですか？
まだ実装報告ないですよ？」
「一瞬ではあったが、見た事があったからね」
以前の世界で会ったなど言えば
俺が遡行軍だと思われるだろう
それだけは阻止したかった
「まだ刀の姿だった時にですか？」
「嗚呼」
金髪に碧緑色の瞳
俺とさほど背丈も変わらず
比較されない為なのか少し腰を低くして
一定距離、俺から離れて俺をじっと見る
それが前の世界だった
それでも、彼奴は確かに本丸の奴らから尊敬されていた
“山姥切”と呼ばれながら、慣れたように全てこなす
“山姥切”は俺であるというのに
それをちゃんと認識しているのは猫殺し……
南泉と長船の連中だった
俺には化け物の呪いが掛かってるとか言われたが、そうなのかも知れない
俺はそれを否定はしないし、分かりやすく肯定もしない
ただ、俺も何となく“そう思う”だけである
彼奴との区別を少しでも出来るように
俺は無理矢理に彼奴を“偽物くん”と呼ぶ
いつか自分が、ちゃんとした“山姥切”と呼ばれるのを望んでいるだけだ
今の主でさえも、俺のことは『長義』と呼んでいるが
偽物くんが来れば、変わるだろうか
いや、寧ろ変えて欲しい
切からそう思う
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