３─初出陣 ページ4
「長義さん、短刀と脇差
それと太刀とかも来て欲しいですね！」
「資材にそんな余裕はない
刀装も作らなくてはいけないんだよ？」
「…政府が資材ケチるのが悪いんです！」
主は鍛刀にどれ程の資材を注ぎ込む気か
「せめて、短刀を一振り
そしてその後は刀装を三つ
出陣はその後だ」
「…はい」
「いけません審神者様
鍛刀はしても構いませんが、山姥切長義様には今すぐに出陣して頂きます」
面妖な狐─政府の式神である“こんのすけ”が唐突に現れた
「狐が喋ってます！
長義さん！動物が喋ってます！」
「落ち着け主、それは管狐のこんのすけだ」
こんのすけは一つ会釈をすると
『如何にも、私がこんのすけでございます』と一言述べた
「じゃあ、お鍋に出来ますか？」
「残念だが主、これでは狐鍋は出来ない」
主の衝撃の一言に、こんのすけは怯えた
「と、取り敢えず
山姥切長義様、出陣をお願いします」
「仕方ない…
主、俺が居ない間に鍛刀をするんだよ？
決して、資材の無駄遣いはいけないからね」
「はい…」
向かったのは函館
此処の遡行軍は弱いと聞いているが
今の俺の練度は一だ
恐らく中傷か重傷になるくらいだろう
「では行こう
敵に死を与える為に」
そう言えば景色は一転し、戦場となった
「偵察結果を
そこから判断する」
索敵は失敗
まあ俺一振りなのだ
当たり前か
「待たせたな
お前たちの死が来たぞ」
相手は相手は逆行陣
俺は魚鱗陣
一振りなのに陣形など関係あるのか
「切ってやる」
相手にそこまでの痛手は無さそうで
俺に攻撃をしてくる
腕に浅い切り傷……
「それで終わりか？」
挑発に乗ったのか、俺の首を狙いに来た
間一髪で避けたが、中傷になってしまった
「ははっいいぞ……
楽しめそうだ」
良いだろう、ここまでやったんだ
本気ぐらい見せてやろう
「ここからは本気だ！
後悔しろ！」
結果的にはあと一撃が足りず敗北
無念にも、本丸へと強制帰還した
「……長義さん
今手入れしますね」
「そこまでではないけれど……
これは少し、休みを貰わないとな……」
初期刀だと言うのに、なんと情けないことだろう
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