86─その一心で ページ7
鶴丸国永side
本丸をブラついていたら
三日月が血相を変えて三条部屋から出てきた
あんなに冷静な三日月が珍しいと思った俺は
三日月を追いかけた
でも、少し後悔している
三日月はあの補佐を『主』と言った
以前、三日月から聞いていた『弱虫な主』は
あの補佐だったという事か
補佐を『主』と言った三日月の声は、何処か嬉しそうだ
口調も霊力も違う
そんな人間が、三日月の昔の主……
光坊もあちら側
貞坊も勿論、審神者側だ
倶利坊だけでも、俺が守らなきゃならん
そう思っていたが、あの審神者には
俺自身が『信じてもいいのか』と言ってしまった
それなのに、今更だろう……
鶴丸「主、ねぇ…あれ程審神者を嫌っていた君が、そんな言葉を発するとは思わなかったぜ」
三日月「…鶴丸」
三日月が来たばかりの頃だ
彼奴は確か……
『敵となる時は鶴丸と呼ぼう』と言っていた
つまり今は敵ってことか
鶴丸「そうか…今の君は敵か、だったら良いんだよな？」
俺は自らの本体の鯉口を切った
家族も仲間もそこには居ない
なら、思いっきりやっても良いよな？
太鼓鐘「待ってくれよ鶴さん！」
目の前に立ち塞がったのは貞坊だった
俺は斬らぬように後ろへと下がった
審神者に直されたからって……
鶴丸「なぁ…どうして皆俺から離れるんだ……？俺は皆を守りたいだけなんだ……」
俺は、何かしてしまっただろうか？
自らで押さえ込んでいた感情は溢れてくる
辛い、悲しい、怖い、寂しい、嫌い……
みンな……ダイきらイ……きえテクれ……！
言祝「まずいな……皆、鶴丸国永の──」
俺には補佐の言葉が最後まで聞こえず
そのまま真っ暗な闇の中へと“堕ちた”
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